鎌倉街道 道標(加佐志)
1.社会貢献と社会的権威の向上 『TKC会計人の行動基準書』(第四版〈令和2年6月19日版〉)解説書が事務所に届いた。取っ付き難いが折角なのでこれを少しだけ確認してみた。因みに、概KC出版からポケット版が同時提供され、これをバックの片隅に潜ませれば商売繫盛のお守りになるかもしれない。 第1章「総論」に「TKC全国会の結成目的」(1−1)が掲げられている。「TKC全国会は、わが国職業会計人の職域防衛と運命打開を目的として開発されたTKCシステムを活用する職業会計人が、その事務所の業務水準の向上と中小企業の育成並びに存続・発展を祈願して結成された血縁的集団であり、その目指すところは、自利利他−自利とは利他をいう−の理念の実践により、確固とした職業倫理と使命感を堅持しつつ、租税正義の実現と、社会と企業の発展に貢献することにある。」と崇高な理想像を宣言している。 狭山湖/取水塔 冒頭の「わが国職業会計人」とは、TKC会員に限定せず、わが国の全ての公認会計士・税理士である。「TKC会計人は、公認会計士と税理士とを、等しく職業会計人として捉え、両者の一体化を指向し 」、「日本の職業会計人の職域防衛と運命打開とを、理想のスローガンとしてではなく、絶対的な現実の実践原理 」とする。今日的には、「職域防衛」とは、わが国職業会計人が事務所体質改善の断行により欧米諸国にひけを取らない世界最高水準の業務品質を確保し、税務・会計・保証・経営助言の各業務において、社会と、企業の防衛・育成・存続・発展に貢献することであり、「運命打開」とは、職業会計人の弛まない自己改革と自己研鑽による自己実現であり、わが国の貧困な職業関連法規の法整備と、情報の非対称性を解消し、職業会計人が確固たる職業倫理、優れた専門能力と公共的使命感を堅持し、独立公正な立場に立脚した租税正義の実現により社会的信頼と権威を獲得すること、と考えられる 。 2.行動基準書に準拠した業務水準の向上 「自利利他の理念 」は、単なる理想のスローガンではない。「TKC会計人は、自利利他の理念を、自己の実践原理 」とする。自利利他の理念とは、関与先・職員・国家社会に徹底奉仕することである。坂本孝司TKC全国会会長は、『TKC会計人の行動基準書』を会計事務所経営の王道、つまり成功のバイブルであると位置づけた 。TKCシステムの徹底活用により、これに準拠した業務品質の確保が求められる。今回の改定で「認定経営革新等支援機関の職務」(3−9)が新設された。 『TKC会計人の行動基準書』は単なる商売繁盛のお守りではないことは確かである。
|