総額表示義務化

[令和3年9月1日現在法令等]

No.6902 「総額表示」の義務付け
[令和3年9月1日現在法令等]
 
<対象税目>
消費税
<概  要>
総額表示義務」とは、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、
消費税額(地方消費税額を含む。)を含めた価格(税込価格)を表示することを義務付けるものです。
<総額表示義務の対象>
総額表示の義務付け」は、事業者が消費者に対してあらかじめ表示する価格が対象となります。
したがって、「価格を表示していない場合」にまで、税込価格の表示を義務付けるものではありません。
また、「口頭で伝えるような価格」は、総額表示義務の対象とはなりません。

(注)「事業者があらかじめ消費者に対して行う価格の表示」であれば、
それがどのような表示媒体(店頭表示、チラシ広告、新聞・テレビの広告など)
により行われるものであるかを問いません。
<具体的な表示例>
 例えば、次に掲げるような表示が総額表示として認められます。
(標準税率10パーセントが適用されるものとして記載しています。)

11,000円
11,000円(税込)
11,000円(税抜価格10,000円)
11,000円(うち消費税額等1,000円)
11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)
11,000円(税抜価格10,000円、消費税率10%)
10,000円(税込価格11,000円)

 
<根拠法令等>
消法63、平15改正法附則1、平16.2課消1-8

消費税法(価格の表示)
第63条 事業者(第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、
不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(第7条第1項、第8条第1項その他の法律又は条約の規定により
消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)
を行う場合(専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。)において、
あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、
当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を
表示しなければならない。
<関連リンク>
<財務省サイト等>
事業者が消費者に対して価格を表示する場合の価格表示に関する消費税法の考え方
 <令和3年4月1日以降の価格表示について>
 ・リーフレット(PDF:790KB)
 ・事業者が消費者に対して価格を表示する場合の価格表示に関する消費税法の考え方(PDF:474KB)
  ※ 総額表示に関する主な質問についてはこちらをご覧ください。
  ※ リーフレット送付を希望される方はこちらからお申込みください。


総額表示に関する主な質問について
<QAリンク>
総額表示義務のない場合
Q 見積書、契約書、請求書等は、消費税額を含めた総額表示の対象となりますか。
A 総額表示の義務付けは、不特定かつ多数の者に対する値札や店内掲示、
チラシあるいは商品カタログにおいて、「あらかじめ」価格を表示する場合を対象としていますから、
見積書、契約書、請求書等については、総額表示義務の対象とはなりません。(消法63)
*一部改

法令解釈通達



「事業者が消費者に対して価格を表示する場合の取扱い」及び
「課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置の取扱い」について(法令解釈通達)
課消1−8
課審7−4
課個4−9
課法3−7
徴管2−15
査調4−2
平成16年2月19日
最終改正
平31課消2−7

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿
国税庁長官

事業者が消費者に対して価格を表示する場合の取扱い及び課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置の取扱いについて(法令解釈通達)

 標題のことについては、下記のとおり定めたから、当分の間これにより取り扱われたい。
 なお、消費税法基本通達(平成 7年12月25日付課消2−25ほか4課共同「消費税法基本通達の制定について」通達の別冊)の15−2−2から15−2−4は平成16年3月31日限り削除する。

(理由)所得税法等の一部を改正する法律(平成 15年法律第8号)第6条の規定による改正後の消費税法第63条《価格の表示》において、課税事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含んだ価格を表示することが義務付けられ、平成16年4月1日から施行されることから、その暫定的な取扱い、及び当該表示が義務付けられることに伴い消費税法施行規則第22条第1項《消費税額及び地方消費税額相当額を区分領収している場合の申告税額の計算》が廃止され、新たに設けられた消費税法施行規則の一部を改正する省令(平成15年財務省令第92号)附則第2条《課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の取扱いを定めたものである。
 

(用語の意義)
1 この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(1) 法 消費税法をいう。
(2) 規則 消費税法施行規則をいう。
(3) 15年改正省令 消費税法施行規則の一部を改正する省令(平成15年財務省令第92号)をいう。
(4) 28年改正省令 消費税法施行規則等の一部を改正する省令(平成28年財務省令第20号)をいう。
(5) 課税資産の譲渡等 法第2条第1項第9号《定義》に規定する課税資産の譲渡等のうち、
  法第7条第1項、第8条第1項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除される課税資産の譲渡等以外の課税資産の譲渡等をいう。
(6) 軽減対象資産の譲渡等 所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第34条第1項《31年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する
  経過措置》に規定する31年軽減対象資産の譲渡等をいう。
(7) 課税事業者 事業者のうち法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定により消費税を納める義務が免除される事業者以外の
  事業者をいう。
(8) 消費税額等 課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額をいう。
(9) 総額表示 法第63条《価格の表示》の規定による価格表示をいう。
(10) 税込価格 課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額等を含んだ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格をいう。
(11) 税抜価格 課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額等を含まない課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格をいう。



(総額表示の具体的な表示方法)
2 法第 63条《価格の表示》の規定による価格表示(総額表示)とは、課税事業者が取引の相手方である消費者に課税資産の譲渡等を行う場合において、あらかじめその資産又は役務の取引価格を表示するときに、税込価格を表示することをいう。
 したがって、表示された価格が税込価格であれば「税込価格である」旨の表示は必要なく、また、税込価格に併せて「税抜価格」又は「消費税額等」が表示されていても差し支えないので、例えば、次に掲げるような表示がこれに該当する。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(1) 11,000円
(2) 11,000円 (税込)
(3) 11,000円 (税抜価格 10,000円)
(4) 11,000円 (うち消費税額等1,000円)
(5) 11,000円 (税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)

 なお、税込価格の設定を行う場合において、 1円未満の端数が生じるときは、当該端数を四捨五入、切捨て又は切上げのいずれの方法により処理しても差し支えなく、また、当該端数処理を行わず、円未満の端数を表示する場合であっても、税込価格が表示されていれば、総額表示の義務付けに反するものではないことに留意する。
 また、「10,000円(税込11,000円)」とする表示については、総額表示の義務付けに反するものではないが、「税抜価格」をことさら強調することにより消費者に誤認を与える表示となる場合には、総額表示に当たらないことに留意する。

(会員制の店舗等の取扱い)
3 会員のみが利用できる会員制の店舗等であっても、当該会員の募集が不特定かつ多数の者を対象として行われている場合には、法第 63条《価格の表示》に規定する「不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等・・・・を行う場合」に該当することに留意する。 (平26課消1−5改正)

(専ら他の事業者に対して行われる場合の意義)
4 法第 63条《価格の表示》に規定する「専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合」とは、資産 又は役務の内容若しくは性質から、およそ事業の用にしか供されないような資産又は役務の取引であることが客観的に明らかな場合をいい、例えば、次に掲げるような取引がこれに該当する。(平26課消1−5改正)

(1) 建設機械の展示販売
(2) 事業用資産のメンテナンス

(単価、手数料率等の取扱い)
5 総額表示の対象となる価格表示には、資産又は役務の単価、手数料率等を表示する場合など、最終的な取引価格そのものは表示されないが、事実上、価格を表示しているに等しい表示についても総額表示が義務付けられることに留意する。

(希望小売価格の取扱い)
6 製造業者、卸売業者、輸入総代理店等の小売業者以外の者(以下この項において「製造業者等」という。)が、自己の供給する商品について、小売業者の価格設定の参考になるものとして設定している、いわゆる希望小売価格は、課税資産の譲渡等を行う課税事業者が、取引の相手方である消費者に対して行う価格表示ではないので、総額表示義務の対象とはならないが、小売業者において製造業者等が商品本体へ印字した希望小売価格等をそのまま消費者に対する販売価格とする場合には、当該価格が総額表示義務の対象となることに留意する。
なお、当該希望小売価格等が税抜価格である場合には、小売店において棚札などに税込価格を表示する必要がある。

(タイムサービスの値引き表示の取扱い)
7 特定の商品を対象とした一定の営業時間に限った価格の引下げ又は生鮮食料品等について一定の営業時間経過後の価格の引下げ等(いわゆるタイムサービス)を行う場合の値引き表示(値引き前の価格に対する割引率又は割引額を示す表示をいう。)は、総額表示義務の対象となる価格表示には該当しないことに留意する。
なお、値引き後の価格を表示するか否かは事業者の任意であるが、表示する場合には当該価格表示が総額表示義務の対象となることに留意する。

(総額表示の対象となる表示媒体)
8 法第 63条《価格の表示》に規定する「表示するとき」とは、課税資産の譲渡等を行う課税事業者が、取引の相手方である消費者に対して行う価格表示であれば、それがどのような表示媒体により行われるかを問わないから、例えば、次に掲げるようなものがこれに該当する。(平26課消1−5改正)

(1) 値札、商品陳列棚、店内表示などによる価格の表示
(2) 商品、容器又は包装による価格の表示及びこれらに添付した物による価格の表示
(3) チラシ、パンフレット、商品カタログ、説明書面その他これらに類する物による価格の表示
 (ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)
(4) ポスター、看板(プラカード及び建物、電車又は自動車等に記載されたものを含む。)、
  ネオン・サイン、アドバルーンその他これらに類する物による価格の表示
(5) 新聞、雑誌その他の出版物、放送、映写又は電光による価格の表示
(6) 情報処理の用に供する機器による価格の表示(インターネット、電子メール等によるものを含む。)

(価格表示をしていない場合)
9 総額表示の対象となるのは、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示する場合であり、価格表示をしていない場合にまで表示を義務付けるものではないことに留意する。



(決済上受領すべき金額の意義)
10 28年改正省令附則第12条第2項《税抜価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の規定により読み替えて適用される15年改正省令附則第2条第2項《総額表示義務の対象とならない取引で税抜価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》及び第4項《総額表示義務の対象となる取引で税抜価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の規定により、15年改正省令による改正前の規則(以下「旧規則」という。)第22条第1項《消費税額及び地方消費税額相当額を区分領収している場合の申告税額の計算》の規定を適用する場合において、課税資産の譲渡等の対価の額を税率の異なるごとに区分して合計した金額と税率の異なるごとに区分して合計した消費税額等とに区分して領収することとされている「課税資産の譲渡等に係る決済上受領すべき金額」とは、次の場合には、それぞれ次の金額をいう。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(1) 顧客に販売した複数の商品(課税資産に限る。)を一括して引き渡した場合
 これらの商品の代金として当該顧客から一括して受領した場合における当該領収書(レシートその他代金の受領事実を証するものとして顧客に交付するものを含む。以下同じ。)に記載された金額の合計額

(2) 取引の都度掛売りをし、その掛売りの額について一定期間分をまとめて請求する場合
 一の請求書に係る金額

(3) 電気、ガス、水道水等を継続的に供給し、又は提供するもので、その一定期間分の料金をまとめて請求する場合
 一の請求書に係る金額

(4) 納品の都度請求書を発行する場合
 納品の都度発行される請求書に係る金額

 したがって、税率の異なるごとに区分して行う同項の規定による消費税額等の1円未満の端数の処理は、(1)の場合には領収書ごとに行い、(2)から(4)の場合には交付する請求書ごとに行うことに留意する。

(注) 15年改正省令附則第2条第4項の規定により、なおその効力を有することとされる旧規則第22条第1項の規定については、平成26年4月1日以後に行う課税資産の譲渡等について適用されることに留意する。
 なお、平成26年4月1日以後に事業者が課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格の表示について、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(平成25年法律第41号)第10条第1項《総額表示義務に関する消費税法の特例》の規定の適用を受ける場合には、総額表示を行っているものとして、当該課税資産の譲渡等について、15年改正省令附則第2条第4項の規定が適用されることに留意する。
(区分して領収するの意義)
11 旧規則第22条第1項《消費税額及び地方消費税額相当額を区分領収している場合の申告税額の計算》の規定の適用要件である、課税資産の譲渡等の対価の額と消費税額等とに「区分して領収する」とは、代金の決済に当たって課税資産の譲渡等の対価の額(以下「本体価額」という。)を税率の異なるごとに区分して合計した金額と1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の消費税額等とを領収書又は請求書等において区分して明示している場合をいう。
 この場合において、課税標準額に対する消費税額は、当該1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の消費税額等の合計額の100分の78(軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、80分の62.4)に相当する金額となる。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(税込価格を基礎として計算した決済上受領すべき金額の意義)
12 28年改正省令附則第12条第1項《税込価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の規定により読み替えて適用される15年改正省令附則第2条第3項《税込価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》に規定する「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の税込価格を基礎として税率の異なるごとに区分して合計した決済上受領すべき金額」とは、一取引ごとに領収すべき金額で、個々の資産又は役務の税込価格を基に税率の異なるごとに区分して合計した金額をいい、10の(1)から(4)に掲げる場合の区分に応じ当該(1)から(4)に定めるところによる。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(消費税額等に相当する金額を明示したときの意義)
13 28年改正省令附則第12条第1項《税込価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の規定により読み替えて適用される15年改正省令附則第2条第3項《税込価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》に規定する「その領収に際して当該金額に含まれる消費税額等に相当する額の一円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の金額をそれぞれ明示したとき」とは、代金の決済に当たって同項の規定による消費税額等に相当する額の1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の金額を領収書又は請求書等においてそれぞれ明示している場合をいう。
 この場合において、課税標準額に対する消費税額は、当該1円未満の端数を処理した後の消費税額等の合計額の100分の78(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、80分の62.4)に相当する金額となる。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)




(課税仕入れに係る消費税額の計算)
14 法第30条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》に規定する課税仕入れに係る消費税額は、原則として、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る支払対価の額の合計額に110分の7.8(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、108分の6.24)を乗じて計算した金額(当該金額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。)とする。
 ただし、課税仕入れの都度課税仕入れに係る支払対価の額について、税抜経理方式(平成元年3月29日付直所3―8ほか1課共同「消費税法等の施行に伴う所得税の取扱いについて」通達の記1の(5)又は平成元年3月1日付直法2―1「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」通達の記1の(7)に規定する税抜経理方式をいう。)により経理処理を行う場合に、次の態様に応じ処理しているときは、その処理を認める。(平26課消1-5、平31課消2−7改正)

(1) 課税仕入れの相手方が課税資産の譲渡等に係る決済上受領すべき金額を、本体価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額と1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の消費税額等とに区分して領収する場合に作成した領収書又は請求書等において別記されている消費税額等を仮払消費税等として経理し、その課税期間中における仮払消費税等の合計額の100分の78(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、80分の62.4)に相当する金額を課税仕入れに係る消費税額とする。

(2) 課税仕入れの相手方から交付を受けた領収書又は請求書等に明示された税込価格を基礎として税率の異なるごとに区分して合計した決済上受領すべき金額に含まれる消費税額等に相当する額(当該決済上受領すべき金額に110分の10(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、108分の8)を乗じて算出した金額)の1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の金額を仮払消費税等として経理し、その課税期間中における仮払消費税等の合計額の100分の78(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、80分の62.4)に相当する金額を課税仕入れに係る消費税額とする。

(3) 課税仕入れの相手方から交付を受けた領収書又は請求書等では課税資産の譲渡等に係る決済上受領すべき金額を本体価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額と1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の消費税額等とに区分して記載されていない場合、あるいは課税仕入れの相手方から交付を受けた領収書又は請求書等では税込価格を基礎として税率の異なるごとに区分して合計した決済上受領すべき金額に含まれる消費税額等に相当する額(当該決済上受領すべき金額に110分の10(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、108分の8)を乗じて算出した金額)の1円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の金額がそれぞれ明示されていない場合において、課税仕入れ等に係る帳簿等により課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、108分の8)を乗じた金額(1円未満の端数を切捨て又は四捨五入の方法により処理する場合に限る。)を仮払消費税等として経理する方法を継続的に行っているときには、その課税期間中における仮払消費税等の合計額の100分の78(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、80分の62.4)に相当する金額を課税仕入れに係る消費税額とする。

(注) (3)の方式は、(1)又は(2)が適用できない場合について認められることに留意する。


総額表示義務の特例措置に関する事例集(税抜価格のみを表示する場合などの具体的事例)

事例集PDF (nta.go.jp)

[令和3年4月1日現在法令等](バックナンバー)


総額表示義務化

No.6902 「総額表示」の義務付け

[令和3年4月1日現在法令等]


1 「総額表示」の意義

 「総額表示」とは、消費者に商品の販売やサービスの提供を行う課税事業者が、値札やチラシなどにおいて、あらかじめその取引価格を表示する際に、消費税額(地方消費税額を含みます。)を含めた価格を表示することをいいます。

※ 平成25年10月1日から令和3年3月31日までの間、「消費税転嫁対策特別措置法」により、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」を講じていれば税込価格を表示することを要しないこととする特例が設けられておりましたが、この特例は令和3年3月31日限りで失効しました。
 

2 対象となる取引

 消費者に対して、商品の販売、役務の提供などを行う場合、いわゆる小売段階の価格表示をするときには総額表示が義務付けられます。
 事業者間での取引は総額表示義務の対象とはなりません。
 

3 具体的な表示例

 例えば、次に掲げるような表示が「総額表示」に該当します(例示の取引は標準税率10%が適用されるものとして記載しています。)。
 

  • 11,000円
  • 11,000円(税込)
  • 11,000円(税抜価格10,000円)
  • 11,000円(うち消費税額等1,000円)
  • 11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)


[ポイント]
 支払総額である「11,000円」が明瞭に表示されていれば、「消費税額等」や「税抜価格」が表示されていても構いません。
 例えば、「10,000円(税込11,000円)」とされた表示も、消費税額を含んだ価格が明瞭に表示されていれば、「総額表示」に該当します。

 なお、総額表示に伴い税込価格の設定を行う場合において、1円未満の端数が生じるときには、その端数を四捨五入、切捨て又は切上げのいずれの方法により処理しても差し支えありません。
 

4 対象となる表示媒体

 対象となる価格表示は、商品本体による表示(商品に添付又は貼付される値札等)、店頭における表示、チラシ広告、新聞・テレビによる広告など、消費者に対して行われる価格表示であれば、それがどのような表示媒体により行われるものであるかを問わず、総額表示が義務付けられます。
 なお、口頭による価格の提示は、これに含まれません。
 

5 価格表示を行っていない場合

 総額表示が義務付けられるのは、あらかじめ取引価格を表示している場合であり、価格表示がされていない場合にまで価格表示を強制するものではありません。
  (消法63、平15改正法附則1、平16.2課消1-8外)

 

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[令和2年4月1日現在法令等](バックナンバー)


総額表示義務化

No.6902 「総額表示」の義務付け

[令和2年4月1日現在法令等]


1 「総額表示」の意義

 「総額表示」とは、消費者に商品の販売やサービスの提供を行う課税事業者が、値札やチラシなどにおいて、あらかじめその取引価格を表示する際に、消費税額(地方消費税額を含みます。)を含めた価格を表示することをいいます。
 

2 対象となる取引

 消費者に対して、商品の販売、役務の提供などを行う場合、いわゆる小売段階の価格表示をするときには総額表示が義務付けられます。
 事業者間での取引は総額表示義務の対象とはなりません。
 

3 具体的な表示例

 例えば、次に掲げるような表示が「総額表示」に該当します(例示の取引は標準税率10%が適用されるものとして記載しています。)。


・11,000円
・11,000円(税込)
・11,000円(税抜価格10,000円)
・11,000円(うち消費税額等1,000円)
・11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)
  • [ポイント]
  •  支払総額である「11,000円」さえ表示されていればよく、「消費税額等」や「税抜価格」が表示されていても構いません。
  •  例えば、「10,000円(税込11,000円)」とされた表示も、消費税額を含んだ価格が明瞭に表示されていれば、「総額表示」に該当します。

 なお、総額表示に伴い税込価格の設定を行う場合において、1円未満の端数が生じるときには、その端数を四捨五入、切捨て又は切上げのいずれの方法により処理しても差し支えありません。
 

4 対象となる表示媒体

 対象となる価格表示は、商品本体による表示(商品に添付又は貼付される値札等)、店頭における表示、チラシ広告、新聞・テレビによる広告など、消費者に対して行われる価格表示であれば、それがどのような表示媒体により行われるものであるかを問わず、総額表示が義務付けられます。
 なお、口頭による価格の提示は、これに含まれません。

 

5 価格表示を行っていない場合

 総額表示が義務付けられるのは、あらかじめ取引価格を表示している場合であり、価格表示がされていない場合にまで価格表示を強制するものではありません。
 

6 総額表示義務の特例

<令和3年3月31日限りで失効>

 「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(消費税転嫁対策特別措置法・平成25年10月1日施行)第10条で、二度にわたる消費税率の引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保及び事業者による値札の貼り替え等の事務負担に配慮する観点から、総額表示義務の特例として、平成25年10月1日から令和3年3月31日までの間(注)、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」を講じていれば税込価格を表示することを要しないこととされています。

 これにより、総額表示義務の対象となる表示であっても、誤認防止措置を講じていれば、税抜価格のみの表示などを行うことができます。

 なお、総額表示を要しないこととされている場合(税込価格を表示しない場合)であっても、総額表示に対応することが可能である事業者には、消費者の利便性に配慮する観点から、自らの事務負担等も考慮しつつ、できるだけ速やかに、総額表示に対応するよう努めていただくこととなります。また、消費税の総額表示義務は、「消費税相当額を含む支払総額」が一目で分かるようにするためのものであり、例えば、適切に表示された税込価格と併せて、税抜価格を表示するという対応も可能です。
 

(注) 平成28年11月の税制改正により、消費税転嫁対策特別措置法の適用期限は、平成30年9月30日から令和3年3月31日に延長されました。
 

誤認防止措置の具体例

 総額表示義務の特例措置の適用を受けるために必要となる誤認防止措置としての表示は、消費者が商品等を選択する際に、明瞭に認識できる方法で行う必要があります。
 


1.例1
 ・値札、チラシ、ポスター、商品カタログ、インターネットのウェブページ等において、
  商品等の価格を次のように表示する。
 
誤認防止措置の具体例 例1 イメージ

例えば、個々の商品の値札に税抜価格のみ記載して、その価格が税抜価格であることが明瞭にわかるよう(税込価格と誤認されないよう)に、次のような表示を行う。

  ○○円(税抜)/○○円(税抜価格)/○○円(本体)/○○円(本体価格)/
  ○○円+税/○○円+消費税/○○円(税別)/○○円(税別価格)

2.例2

・個々の値札等においては「○○円」と税抜価格のみを表示し、別途、店内の消費者が商品等を選択する際に目に付きやすい場所に、明瞭に、「当店の価格は全て税抜価格となっています。」といった掲示を行う。
 

 このほかにも、誤認防止措置の具体例を、国税庁ホームページの「消費税法改正のお知らせ(社会保障と税の一体改革関係)」に「総額表示義務の特例措置に関する事例集(税抜価格のみを表示する場合などの具体的事例)」に掲載していますので、そちらをご参照ください。

(消法63、平15改正法附則1、平16.2課消1-8、平26.3課消1-5外)


Q 総額表示義務のない場合

  •  国税に関するご相談は、国税局電話相談センター等で行っていますので、税についての相談窓口をご覧になって、電話相談をご利用ください。
 
(注)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6902.htm
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MINISTRY OF FINANCE(財務省)

<消費税転嫁対策特別措置法は令和3年3月31日終了>

公正取引委員会
→ 消費税転嫁対策特別措置法の失効後における消費税の転嫁拒否等の行為に係る独占禁止法及び下請法の考え方に関するQ&A
総額表示義務については、平成25年10月1日から令和3年3月31日までの間、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(平成25年法律第41号)により、以下に記載されている内容にかかわらず、一定の場合には税込価格の表示を要しないこととする特例が設けられています。詳しくは、以下のページをご確認下さい。
→「消費税転嫁対策特別措置法のガイドライン(総額表示義務の特例)について
→「消費税の転嫁対策について 
※ ただし、総額表示を要しないこととされている場合(税込価格を表示しない場合)であっても、
総額表示に対応することが可能である事業者には、消費者の利便性に配慮する観点から、自らの事務負担等も考慮しつつ、できるだけ速やかに、総額表示に対応するよう努めていただくこととなります。なお、消費税の総額表示義務は、「消費税相当額を含む支払総額」が一目で分かるようにするためのものであり、例えば、適切に表示された税込価格と併せて、税抜価格を表示するという対応も可能です。

 総額表示についてお寄せいただいている主なご質問に対する回答をまとめたものです。なお、総額表示の概要について説明している、「消費税における「総額表示方式」の概要とその特例」もご参照ください。



《総額表示の対象》

Q1 見積書や請求書等は、総額表示義務の対象ではないのですか。
Q2 「100円ショップ」などの看板は総額表示の対象になりますか。
Q3 製造業者や卸売業者が、小売店や業務用ユーザー向けに作成した商品カタログは総額表示の対象になりますか。
Q4 当社は事業者向けの事務用機器を販売していますが、取引先である法人がエンドユーザーとして当社の商品を使用しています。このような場合にも、店頭や広告などにおける価格表示を税込価格にする必要があるのでしょうか。
Q5 「希望小売価格」も「総額表示」にする必要がありますか。
Q6 当社は事業者向けに経済指標等のデータ提供サービスを行っておりパンフレットに料金を表示していますが、総額表示義務の対象となるでしょうか。なお、このデータ提供サービスについて一般消費者向けの販売促進活動は一切行っていませんが、データ提供先には個人契約者(大学教授などの研究者)も含まれており、事業者なのか消費者としての立場の個人なのか判別できない場合があります。
Q7  会員制の店舗等における取引も対象になりますか 。

 

《具体的な表示方法》

Q8 「9,800円(税込10,780円)」という表示でも総額表示を行っていることになるでしょうか。
Q9 現在の「税抜価格」を基に「税込価格」を設定する場合に円未満の端数が生じることがありますが、どのように処理して値付けを行えば良いのですか。
Q10 商品一つ一つに税込価格を表示しなければならないのでしょうか。なお、商品には、メーカー希望小売価格(税抜価格)が印刷されています。
Q11 単価、手数料の表示方法は。
Q12 ユニット価格商品(肉などの量り売り商品)における価格表示で注意すべき点はどんなことですか。
Q13 ユニット価格商品に貼付するラベルの表示例について、消費税法上の問題点などを教えてください。
Q14 値引販売における価格表示は。

 

《レジ計算》

Q15 「総額表示」への移行に伴い、レジシステムを変更する必要はあるのですか。
Q16  一領収単位(レシート)ごとの端数処理の特例(旧消費税法施行規則第22条第1項)は、どうなっていますか。
Q17 Q16を見ると消費税額を記載しているレシートの例が載っていますが、レシートに消費税額を記載しなければいけないのでしょうか。
Q18 端数処理の特例は、例えば、税込172円(うち税15円)と値札表示した商品を3個販売した場合に、15円×3個なので消費税相当額45円とレシート表示するというように単品毎に端数処理を行っても認められますか。


《総額表示の対象》
(Q1) 見積書や請求書等は、総額表示義務の対象ではないのですか。
(答)

総額表示の義務付けは、不特定かつ多数の者に対する(一般的には消費者取引における)値札や広告などにおいて、あらかじめ価格を表示する場合を対象としていますので、見積書、契約書、請求書等は総額表示義務の対象にはなりません。
ただし、広告やホームページなどにおいて、あらかじめ“見積り例”などを示している場合がありますが、これは、不特定かつ多数の者にあらかじめ価格を表示する場合に該当しますのでご注意ください。

(注) 値札や広告などにおいて税込価格のみを表示している場合には、その税込みの表示価格を基に見積書、契約書、請求書等が作成されるものと考えられます。



(Q2) 「100円ショップ」などの看板は総額表示の対象になりますか。
(答)

1.総額表示の義務付けは、消費者に対する値札、広告、カタログなどにおける価格表示を対象として、消費者がいくら支払えばその商品やサービスの提供を受けられるか、事前に、一目で分かるようにするためのものです。したがって、ご質問の「100円ショップ」などの看板は、お店の名称(屋号)と考えられるため、総額表示義務の対象には当たらないと考えます。
なお、いわゆる「100円ショップ」の店内における価格表示については、消費税額を含んだ支払総額を表示する必要があります。

2.また、「1万円均一セール」といった販売促進イベントなどの名称についても同様のご質問をいただくことがありますが、考え方は前述と同様です。
具体的な対応方法については、単に『総額表示義務違反となるか、ならないか。』という視点だけではなく、“消費者からどのように受けとめられるか”、“消費者に誤認を与えてトラブルの原因とならないか”という点を十分に踏まえていただきたいと考えます。



(Q3) 製造業者や卸売業者が、小売店や業務用ユーザー向けに作成した商品カタログは総額表示の対象になりますか。
(答)

1.総額表示の義務付けは、『不特定かつ多数の者に対する(一般的には消費者取引における)値札や広告などにおいて、あらかじめ価格を表示する場合』が対象となりますので、一般的な事業者間取引における価格表示は、総額表示義務の対象にはなりません。

2.ご質問の“製造業者や卸売業者が小売店や業務用ユーザーとの間で行う取引”は、事業者間取引に該当しますので、製造業者や卸売業者が小売店や業務用ユーザー向けに作成・配布している“業務用商品カタログ”についても総額表示義務の対象にはなりません。

3.なお、小売店がこうしたカタログを便宜的に消費者に見せることがあったとしても、“業務用商品カタログ”自体が総額表示義務の対象となるものではありません。

(注) “業務用商品カタログ”の価格表示は総額表示義務の対象ではありませんが、製造業者や卸売業者が任意に総額表示とすることを妨げるものではありません。



(Q4) 当社は事業者向けの事務用機器を販売していますが、取引先である法人がエンドユーザーとして当社の商品を使用しています。このような場合にも、店頭や広告などにおける価格表示を税込価格にする必要があるのでしょうか。

(答)

総額表示の義務付けは、不特定かつ多数の者に対する(一般的には消費者取引における)値札や広告などにおいて、あらかじめ価格を表示する場合を対象としています。
したがって、ご質問にあります “事業者向け事務用機器の販売”は事業者間取引と考えられますので、総額表示義務の対象にはなりません。

(注) 総額表示義務の対象となるのは「対消費者取引」です。しかし、小売段階といえども、取引の相手方が最終消費者か、あるいは事業者としての顧客かを判断したり、取引の相手方によって表示方法を変えるということは事実上不可能だと考えられます。そこで、取引の性格に着目し、特定の取引先に限定することなく、「不特定かつ多数の者」を対象として行う取引を総額表示義務の対象としています。
したがって、ここでいう「対消費者取引」とは、取引相手が消費者であっても消費者以外の者であっても同じ条件で取引する状態を意味します。



(Q5) 「希望小売価格」も「総額表示」にする必要がありますか。
(答)

製造業者、卸売業者、輸入総代理店などの小売業以外の者が、自己の供給する商品について、いわゆる「希望小売価格」を設定し、商品カタログや商品パッケージなどに表示している場合がありますが、この「希望小売価格」の表示は、小売店が消費者に対して行う価格表示ではありませんので、「総額表示義務」の対象にはなりません。しかし、小売店において、製造業者等が表示した「希望小売価格」を自店の小売価格として販売している場合には、その価格が総額表示義務の対象となりますので、「希望小売価格」が「税抜価格」で表示されているときは、小売店において、「税込価格」を棚札などに表示する必要が生じます。

製造業者等が表示する「希望小売価格」は総額表示義務の対象ではありませんが、こうした点を踏まえ、「希望小売価格」を「税込価格」に変更することも一つの方法ではないでしょうか。



(Q6) 当社は事業者向けに経済指標等のデータ提供サービスを行っておりパンフレットに料金を表示していますが、総額表示義務の対象となるでしょうか。なお、このデータ提供サービスについて一般消費者向けの販売促進活動は一切行っていませんが、データ提供先には個人契約者(大学教授などの研究者)も含まれており、事業者なのか消費者としての立場の個人なのか判別できない場合があります。
(答)
1.ご質問のように、事業者向けの商品やサービスを提供している場合であっても、結果として、稀に消費者に対する販売が含まれてしまう場合も考えられます。しかしながら、その商品やサービスの性質が、およそ一般消費者が購入しないものと考えられる場合には、結果として対事業者取引が100%でなかったとしても「総額表示義務」の対象となるものではありません。
2.もっとも、どのような性質の商品やサービスであっても、事業者が、一般消費者向けに広告等によって販売促進活動を行っているとすれば、総額表示義務の対象となりますのでご注意ください。
※ご質問のケースのように、今はおよそ一般消費者が利用しない商品やサービスであっても、世の中の変化に伴い、将来、一般消費者が相当程度利用するサービスとなることも考えられます。したがって、上記の判断は、その時々の状況を踏まえて行われるものです。

 
(Q7) 会員制の店舗等における取引も対象になりますか 。
(答)
総額表示の義務付けは、「不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合」を対象としていますが、会員制のディスカウントストアやスポーツ施設(スポーツクラブ、ゴルフ場)など会員のみを対象として商品やサービスの提供を行っている場合であっても、その会員の募集が広く一般を対象に行われている場合には、「総額表示義務」の対象となります。
 
《具体的な表示方法》
(Q8) 「9,800円(税込10,780円)」という表示でも総額表示を行っていることになるでしょうか。
(答)

1.総額表示の義務付けは、消費者が値札や広告などを見れば、『消費税相当額(含む地方消費税相当額。以下同じ。)を含む支払総額』を一目で分かるようにするためのものですので、ご質問のような表示方法であっても、直ちに総額表示の義務付けに反するものではありません。

2.しかしながら、ご質問のように「税抜価格」を本書きとする表示方法(「9,800円(税込10,780円)」)の場合、他の表示方法に比べて文字の大きさや色合いなどを変えることにより「税抜価格」をことさら強調し、消費者に誤認を与えたり、トラブルを招くような表示となる可能性も懸念されます。このような表示がされた場合には、総額表示の観点から問題が生じうることはもとより、そうした表示によって、
『9,800円』が「税込価格」であると消費者が誤認するようなことがあれば、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」の問題が生ずるおそれもあります。

3.したがって、事業者の皆様におかれましては、「支払総額を一目で分かるようにすることにより、消費者の利便を向上させる」という総額表示の趣旨を踏まえた表示方法をご検討いただきたいと考えます。

 

(Q9) 現在の「税抜価格」を基に「税込価格」を設定する場合に円未満の端数が生じることがありますが、どのように処理して値付けを行えば良いのですか。

(答)

1.総額表示の義務付けは、消費者が値札や広告などを見れば、『消費税相当額を含む支払総額』を一目で分かるようにするためのものです。したがって、「税込価格」の設定に当たっては、一義的には、現在の「税抜価格」に消費税相当額を上乗せした金額を「税込価格」として価格設定することになります。

2.この場合、ご質問のように「税抜価格」に上乗せする消費税相当額に1円未満の端数が生じる場合がありますが、その端数をどのように処理 (切捨て、切上げ、四捨五入など)して「税込価格」を設定するかは、それぞれの事業者のご判断によることとなります。

(注1) 「消費税改正と物価」(平成9年4月 経済企画庁物価局)において、『事業全体で、適正な転嫁をしている場合には、ある特定の商品・サービスで税率の上昇を上回る値上げを行っても、便乗値上げには該当しない。』とされています。

(注2) 消費税は商品の価格の一部を構成するものですので、取引金額には10%(又は軽減税率8%)の消費税相当額が含まれており、具体的には、税込価格に含まれる消費税相当額は「税込価格×10/110(又は8/108)」であるというのが原則的な考え方です。

 

(Q10) 商品一つ一つに税込価格を表示しなければならないのでしょうか。なお、商品には、メーカー希望小売価格(税抜価格)が印刷されています。

(答)

1.総額表示の義務付けは、消費者が商品やサービスを購入する際に、「消費税相当額を含む支払総額」を一目で分かるようにするためのものです。したがって、個々の商品に税込価格が表示されていない場合であっても、棚札やPOPなどによって、その商品の「税込価格」が一目で分かるようになっていれば、総額表示義務との関係では問題ありません。

2.なお、ご質問にある「メーカー希望小売価格」は、小売業者の販売価格を束縛するものではありませんので、そもそも「総額表示義務」の対象にはなりません。しかし、小売店において、個々の商品に印字された「メーカー希望小売価格」を自店の販売価格として消費者に示す場合には、小売業者に総額表示義務が生じ、棚札などに税込価格を表示する必要が生じますのでご注意ください。
こうした点を踏まえると、メーカー等におかれては、税込の「希望小売価格」を設定していくことも一つの方法だと考えられます。

 
(Q11) 単価、手数料の表示方法は。
(答)

商品の単価や手数料率を表示する場合など、最終的な取引価格そのものではありませんが、事実上、その取引価格を表示しているものについても「総額表示義務」の対象となります。例えば、肉の量り売り、ガソリンなどのように一定単位での価格表示、不動産仲介手数料や有価証券の取引手数料など、取引金額の一定割合(○%)とされている表示がこれに当たります

 
(例)「総額表示」が義務付けられる単価等の表示例

 「税抜表示」

「総額表示」 

肉の量り売り(8%)  100グラム200円 100グラム216円
ガソリン、灯油(10%)  1リットル100円 1リットル110円
土地仲介手数料(10%)  売買価格の3.00% 売買価格の3.30%

【ご注意ください】

取引金額の一定割合を手数料やサービス料として受け取る事業者にあっては、その基礎となる取引金額が「税込価格」であれば、手数料やサービス料の割合を変更する必要はありません(以下の事例を御参照ください。)。



【例】 税込価格3,300円の食事の場合(税抜価格は、3,000円)
サービス料10%



○総額表示前 → メニュー等に「別途サービス料として10%を頂戴いたします。」と表示し、
レシート等には以下のような記載がされていた。
 

レシート
ディナー 3,000円
サービス料10% 300円

小  計 3,300円
消費税 330円

合  計 3,630円
 

○総額表示後 → メニュー等に「上記税込価格にサービス料として10%を頂戴いたします。」と表示した場合の例

レシート
ディナー 3,300円
サービス料10% 330円

合  計 3,630円
(内消費税 330円)
 

(Q12) ユニット価格商品(肉などの量り売り商品)における価格表示で注意すべき点はどんなことですか。

(答)

1.総額表示の義務付けは、値札などにおいて、商品やサービスの価格を消費者に対してあらかじめ表示する場合に消費税相当額を含む支払総額の表示を義務付けるものです。

2.ご照会のユニット価格商品の場合、個々のパッケージ毎に量が異なるため、広告や店内POP、棚札などにおいては「単価」が表示されます。この「単価」は、最終的な「販売価格」そのものではありませんが、消費者は広告や店内POP、棚札などに表示されているユニット価格商品の「単価」を基に商品選択を行いますので、その性質は、事実上、その取引価格を表示しているに等しいと考えられます。したがって、広告や店内POP、棚札などに表示されるユニット価格商品の「単価」は、総額表示義務の対象とされています。

(注) 単価を表示するにあたっては、「税込単価」に併せて従来の「税抜単価」を表示することも妨げられていませんが、その場合には、一見安く見える「税抜単価」を強調するような表示が行われますと消費者が誤認しトラブルの原因となると考えられます。そのような表示は、総額表示の観点から問題が生じうることはもとより、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」の問題が生ずるおそれもありますのでご注意ください。

3.また、あらかじめパッケージされた商品(プリパック商品)に貼付されるラベル表示(「単価」、「量」及び「販売価格」)においては、プリパックされた商品の「販売価格」自体が総額表示義務の対象となるため、ラベル上の「単価」表示そのものは消費税法上の総額表示義務の対象にはなりません。しかしながら、@上記2.で述べたとおり、広告や店内POP、棚札などには「税込単価」を表示する必要がある、 Aラベルに「税込単価」が印字されていない場合には、「単価」×「量」=「税込販売価格」とならないため消費者から見て分かりにくい、という問題がありますのでご注意ください。

 

(Q13) ユニット価格商品に貼付するラベルの表示例について、消費税法上の問題点などを教えてください。

(例)本体100g単価137円、税込100g単価148円(円未満四捨五入)の商品236g(プリパック商品)を1点販売する場合。

(答)

ユニット価格商品に貼付するラベルへの表示方法については、前述(Q9)のポイントを踏まえて最終的には各事業者にご判断いただくこととなりますが、ご照会いただいた“ラベルの表示例”について、それぞれ考えられるポイントを掲載いたしますので参考にしていただきたいと思います。


@ ラベル案A

 

広告、店内POP、棚札などの表示 ラベル表示

広告、店内POP、棚札などの表示

q10_2.gif

 

・広告や店内POP、棚札などに表示される「税込単価」を基に販売価格が計算されているため、消費者から見て分かりやすい。


A ラベル案B

 

店内POP,棚札,広告などの表示 ラベル表示


店内POP,棚札,広告などの表示
 

【総額対応のレジシステムの場合】

q10_4.gif



税抜価格を基に計算するレジシステムの場合】

q10_5.gif

 

・広告や店内POP、棚札などに表示される「税込単価」を基に販売価格が計算されているため、消費者から見て分かりやすい。


・「税込販売価格」に100/108を乗じて算出した「本体価格(税抜販売価格)」が「税込販売価格」に併せて表示されているため、レジシステムの変更が間に合わないなど引き続き「税抜価格」を基にしたレジシステムを使用する場合であっても対応可能と考えられる(POSシステムの場合には、ラベル案Bの下のようにバーコード情報に「本体価格(税抜販売価格)」を入れる必要がある。)。


・ただし、税抜価格を基に計算するレジシステムを使用する場合には、レジにおいて「本体価格(税抜販売価格)」を基に計算した請求金額とラベルに記載している「税込販売価格」とが一致しないケースが生じ、消費者との間でトラブルが生ずる可能性があることに注意する必要がある。


(注)この設例の場合、「税抜価格」を基にしたレジシステムでの請求金額は348円(323円×1.08。小数点以下切捨て)となるのに対し、ラベルには349円と記載されている。


B ラベル案Cについて

 

店内POP,棚札,広告などの表示 ラベル表示

店内POP,棚札,広告などの表示

q10_7.gif

 

・ラベル表示が本体価格のみの表示であり、総額表示義務を履行していることにはならない。

 
(Q14) 値引販売における価格表示は。
(答)

スーパーマーケット等における値引販売の際に行われる価格表示の「○割引」あるいは「○円引き」とする表示自体は「総額表示義務」の対象とはなりません(値札等に表示されている値引前の価格は「総額表示」としておく必要があります。) 。なお、値引後の価格を表示する場合には、「総額表示」とする必要があります。

 
《レジ計算》
(Q15) 「総額表示」への移行に伴い、レジシステムを変更する必要はあるのですか。
(答)

「総額表示義務」は、値札や広告などにおいて「消費税相当額を含む支払総額」の表示を義務付けるものであってレジシステムの変更を義務付けるものではありません。しかし、「総額表示」の下で、「税抜価格」を基に計算するレジシステムを用いている場合には、下の例のような問題が生じ、消費者との間でトラブルが発生する場合があります。
したがって、このような場合には、「税込価格」を基に計算するレジシステムへの変更することが考えられます。また、システム変更が困難な場合には、「消費税の計算上、レジでの精算の際に合計額が異なる場合がある」旨の周知を行うなどの対応が必要になると考えます。

 

〔値札の表示〕
07.gif

※172円の商品を2個販売した場合

「税込価格」を基に計算:172円×2個=344円
「税抜価格」を基に計算:157円×2個×1.1=345円

   
       08.gif
 

 
 

(Q16) 一領収単位(レシート)ごとの端数処理の特例(旧消費税法施行規則第22条第1項)は、どうなっていますか。

(答)

従前の規則第22条第1項(課税標準額に対する消費税額の計算の特例)は、事業者が、代金決済のたびに、代金を税抜価格と消費税相当額とに区分して領収し、発行するレシート等にその消費税相当額の1円未満の端数を処理した後の金額を明示している場合に、消費税の納税申告にあたり“売上に対する消費税額”を計算する際、その明示された端数処理後の消費税相当額を基に計算(いわゆる積上げ計算)を行うことができる特例ですが、これは、「税抜価格」の表示を前提に、決済段階で上乗せされる消費税相当額の端数処理に伴う事業者の負担等に配慮して、少額・大量の取引を行う小売業者等を念頭に設けられた特例制度であったことから、「税込価格」の表示を行う総額表示が義務付けられたことを踏まえ、廃止されました(平成16年4月1日)。


しかし、それまで「税抜価格」を前提とした値付け等を行ってきた事業者が多いこと、また、「税込価格」を基に計算するレジシステム等に変更する必要がある場合でも、レジシステムの変更にはある程度時間を要する方もいると考えられることなどを踏まえ、インボイス制度導入の日の前日(令和5年9月30日)までの間について以下の経過措置が設けられています。


なお、インボイス制度導入後(令和5年10月1日以後)においても、一定の要件の下、売上税額について、インボイスに記載されている消費税額等を積み上げて計算することが可能です。


(@) 総額表示義務の対象とならない取引(事業者間取引等) 「税抜価格」を前提とした従前の端数処理の特例措置の適用が、令和5年9月30日までの間、認められます。


(注)なお、総額表示義務の対象とならない事業者間取引等で、「税込価格」を基礎とした代金決済を行う場合には、下記 の経過措置が適用できます。


(A)「税込価格」を基礎とした代金決済を行う取引(総額表示義務の対象とならない事業者間取引等を含む。)


「税込価格」を基礎とした代金決済を行う際に発行される領収書等において、その領収金額に含まれる消費税相当額(その領収金額に10/110(又は8/108)を乗じて算出した金額)の1円未満の端数を処理した後の金額を明示している場合に限り、その明示された端数処理後の消費税相当額を基に消費税額の計算を行うことができる特例が、令和5年9月30日までの間、設けられています。


(B)総額表示義務の対象となる取引(対消費者取引)で、総額表示は行っているものの「税込レジシステム」への変更が間に合わない場合


少額の取引を行う事業者にあっては、上記Q15で述べたとおり、総額表示への移行後も従来の「税抜レジシステム」を用いた場合には消費者との間でトラブルが生じるケースがあるため、「税込価格」を基に計算するレジシステムに移行されていくことが望ましいと考えます。しかし、レジシステム等の変更が間に合わないなど、すぐには上記 の要件を満たす代金決済を行うことができず、やむを得ず従来の「税抜価格」を基礎とした代金決済を行わざるを得ない場合もあると考えられます。その場合でも、総額表示義務を履行していること又は消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する法律(平成25年法律第41号)第10条第1項(総額表示義務に関する消費税法の特例)(以下「総額表示義務の特例」といいます。)の適用を受けることを要件に、「税抜価格」を前提とした従前の端数処理の特例措置の適用が、平成26年4月1日以後に行われる取引について、令和5年9月30日までの間、認められています。
 


 ※


「Aの経過措置」の適用要件を満たす代金決済の例 
(「税込162円(税抜150円)」と表示している商品の場合)
09_a.gif


    ※

「Bの経過措置」の適用要件を満たす代金決済の例09_b.gif


※「Bの経過措置」の適用を受けるためには、総額表示義務の履行又は総額表示義務の特例を受けていることが必要です。


※「Bの経過措置」は、平成26年4月1日以後に行われる取引について適用されます。
 

【ご注意ください】

ここで説明しているのは、消費税の納付税額を計算する際の措置についてであり、この措置自体がレジにおける計算方法やレシートへの印字内容そのものを拘束するものではありません。

 

(Q17) Q16を見ると消費税額を記載しているレシートの例が載っていますが、レシートに消費税額を記載しなければいけないのでしょうか。

(答)

1.ご質問のQ16は、“売上に対する消費税額”の計算における特例措置(経過措置)を説明しているものです。
具体的には、Q16@〜Bに書かれているとおり、“売上に対する消費税額”を計算する際に、それぞれ所定の要件を満たすレシート等(1円未満の端数処理後の消費税相当額が明示されているレシート等)が交付されている場合には、そのレシート等に記載された消費税相当額の積上げ計算が認められるというものです。


(注)売上に対する消費税額は、その課税期間中の税率毎の受取総額(税抜)に税率を乗じて算出するのが原則です。


2.Q16に掲載されているレシートは、あくまで特例措置の適用要件を満たすレシートを例示して説明しているに過ぎません。したがって、消費税額を記載しないレシート等を交付していたとしても、それ自体が消費税法令に違反するものではありません。


3.いずれにせよ、レシート等に消費税相当額を明記するか否かは各事業者のご判断となりますが、所定の要件を満たすレシート等が発行されていない場合には、Q16の特例措置(経過措置)の適用を受けることができませんのでご注意ください。

 
 

(Q18) 端数処理の特例は、例えば、税込172円(うち税15円)と値札表示した商品を3個販売した場合に、15円×3個なので消費税相当額45円とレシート表示するというように単品毎に端数処理を行っても認められますか。

(答)

1.消費税は、物やサービスの販売価格に織り込まれ、最終的には消費者に転嫁されることが予定された間接税です。このため消費者が支払った金額の中には、間接的に10%(又は8%)の税相当分が含まれていることになりますので、事業者の税込受取総額×10/110(又は8/108)が売上げに対して課される消費税相当額というのが原則です。したがって、ご質問のケースでは、172円×3個×10/110の『46.909…円』が売上げに対して課される消費税相当額となります。


2.また、Q16で説明している端数処理の特例(経過措置)は、一領収単位(レシート)ごとに生ずる端数、すなわち税込172円×3個×10/110=46.909…円の0.909…円という1円未満の端数を処理した後の『46円』を消費税相当額としてレシート等に表示した場合に認められるものであり、単品毎の端数処理は認められていません。

 

(注) Q16@及びBに該当する場合には、これまでの端数処理の特例(旧消費税法施行規則第22条第1項:平成16年3月末で廃止)と同様、税抜157円×3個×10%=47.1円という一領収単位で生ずる1円未満の端数処理の特例が認められます。


3.したがってご質問のような領収方法においては、この端数処理の特例は適用できませんので、税額計算においては、原則どおり、516円(172円×3個)×10/110の46.909…円が売上げに対する消費税額となることにご注意ください。


4.なお、消費税額の計算においてご質問のような単品毎の端数処理を認めることは、原則的な考え方による消費税相当額(税込受取総額の10/110(又は8/108)との乖離が大きくなり、また、ユニット価格商品(肉などの量り売り商品)では、例えば、100グラム当たりの表示単価を10グラム当たりで表示することによって、消費税額等が生じないような値付けも可能となるなどの問題があり、認められていません。

 
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 消費税転嫁対策特別措置法のガイドライン(総額表示義務の特例)について
 

総額表示義務に関する特例の適用を受けるために必要となる誤認防止措置に関する考え方

平成25年9月10日
財務省
改正:平成27年4月1日
改正:平成28年11月28日
改正:平成31年3月29日

第1 はじめに

1 総額表示義務に関する特例の趣旨及び概要
「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(平成25年法律第41号。以下「本法」という。)第10条第1項は、二度にわたる消費税率の引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保及び事業者による値札の貼り替え等の事務負担に配慮する観点から、本法の施行日(平成25年10月1日)から、本法が失効する平成33年3月31日までの間、消費税法(昭和63年法律第108号)第63条に規定する総額表示義務の特例として、税込価格を表示することを要しないものとしているが、消費者の利便性にも配慮する観点から、本特例の適用を受けるための要件として、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」(以下「誤認防止措置」という。)を講じることを求めている。
また、本法第10条第2項は、消費者の利便性に配慮する観点から、平成33年3月31日までの間であっても、本特例により税込価格を表示しない事業者は、できるだけ速やかに、税込価格を表示するよう努めなければならないと規定している。

 
(総額表示義務に関する消費税法の特例)
第10条 事業者(消費税法(昭和63年法律第108号)第63条に規定する事業者をいう。以下この条において同じ。)は、自己の供給する商品又は役務の価格を表示する場合において、今次の消費税率引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、現に表示する価格が税込価格(消費税を含めた価格をいう。以下この章において同じ。)であると誤認されないための措置を講じているときに限り、同法第63条の規定にかかわらず、税込価格を表示することを要しない。
2 前項の規定により税込価格を表示しない事業者は、できるだけ速やかに、税込価格を表示するよう努めなければならない。
3 (省略)
消費税法
(価格の表示)
第63条 事業者(第9条第1項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(第7条第1項、第8条第1項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行う場合(専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。

2 本考え方の目的
本考え方は、総額表示義務の特例の適用を受けるために必要となる誤認防止措置の考え方及び例を示すことにより、法解釈の明確化を図ることを通じ、事業者の予見可能性を確保するとともに、消費者が商品等の選択を行う際の価格表示に関する誤認を防止することを目的とするものである。

第2 基本的な考え方

1 誤認防止措置としての表示は、消費者が商品等を選択する際に、明瞭に認識できる方法で行う必要がある。
このため、次のような場合には、誤認防止措置が講じられていることにはならない。

(1) 誤認防止のための表示が、例えば商品等の代金決済を行う段階までなされておらず、消費者が商品等を選択する際には、表示価格が税込価格でないことを認識できない場合
(注)例えば、誤認防止のための表示が、
 ア 店内のレジ周辺だけで行われている
 イ 商品カタログの申込用紙だけに記載されている
 ウ インターネットのウェブページにおける決済画面だけに記載されている
ことなどにより、消費者が商品を選択する際に認識できない形で行われている場合がこの場合に該当する。

(2) 誤認防止のための表示が、一般消費者にとって見づらいものであるなど、明瞭になされていない場合
(注1)表示が明瞭になされているか否かについての考え方は、「総額表示義務に関する消費税法の特例に係る不当景品類及び不当表示防止法の適用除外についての考え方」(平成25年9月10日消費者庁)の「第2 税込価格が明瞭に表示されているか否かの考え方」と基本的に同様である。
(注2)誤認防止措置としての表示は、当該表示が主に対象としている消費者にとって明瞭に認識できるよう行う必要がある。例えば、主に走行中の車の中にいる者を対象とした看板等の場合、表示価格が税込価格でないことを歩行者が明瞭に認識できるだけでは不十分であり、走行中の車の中からでも明瞭に認識できるような表示とする必要がある。

2 値札の貼り替え等を行う移行期間等において、店内等の一部の商品等について税抜価格のみの表示や旧税率に基づく税込価格等の表示を行わざるを得ない場合には、店内等のどの商品等の価格が税抜価格のみの表示や旧税率に基づく税込価格等の表示になっているのかを明らかにする必要がある。

(注)例えば、次のような方法が考えられる。
 (1) 個々の値札において税抜価格である旨や税込価格の計算に当たって用いた税率を明示する方法
 (2) 値札の色によって区分する方法
 (3) 商品棚等に税抜価格である旨や税込価格の計算に当たって用いた税率を明示する方法

第3 税抜価格のみを表示する場合の誤認防止措置

1 個々の値札等において税抜価格であることを明示する例
値札、チラシ、看板、ポスター、商品カタログ、インターネットのウェブページ等において、商品等の価格を税抜価格のみで表示する場合、例えば次のような表示が誤認防止措置に該当する。

(1) ○○○円(税抜き)
(2) ○○○円(税抜価格)
(3) ○○○円(税別)
(4) ○○○円(税別価格)
(5) ○○○円(本体)
(6) ○○○円(本体価格)
(7) ○○○円+税
(8) ○○○円+消費税

2 店内における掲示等により一括して税抜価格であることを明示する例
個々の値札等において税抜価格を明示することが困難である場合、例えば次のような表示も誤認防止措置に該当する。
なお、店内等の一部の商品等について税抜価格のみの表示を行う場合には、第2の2の考え方により、どの商品等の価格が税抜価格のみの表示となっているのかを明らかにする必要がある。

(1) 店内における表示の例
個々の値札等においては「○○○円」と税抜価格のみを表示し、別途、店内の消費者が商品等を選択する際に目に付き易い場所に、明瞭に、「当店の価格は全て税抜表示となっています。」といった掲示を行う。
(2) チラシ、商品カタログ、インターネットのウェブページ等における表示の例
チラシ、商品カタログ、インターネットのウェブページ等において、個別の商品価格の部分には「○○○円」と税抜価格のみを表示し、別途、消費者が商品を選択する際に目に付き易い場所に、明瞭に、「本チラシ(本カタログ、本ウェブページ等)の価格は全て税抜表示となっています。」といった表示を行う。

第4 旧税率に基づく税込価格等で価格表示されている場合の誤認防止措置

消費税法第63条に規定する総額表示義務は、その時点で適用される税率に基づく税込価格を表示することを求めるものであるが、消費税率引上げの前後においては、値札の貼替えが間に合わない等の事情により、新税率の適用後においても一時的に旧税率に基づく税込価格の表示が残る場合や、前もって値札の貼替えが行われることにより、新税率の適用前から新税率に基づく税込価格の表示が行われる場合も生じ得るところであり、これらの場合も本特例の対象となり得る。
このような場合における誤認防止措置としては、例えば以下のような表示が該当する。
なお、店内等の一部の商品等についてのみ旧税率又は新税率の表示を行う場合には、第2の2の考え方により、どの商品等の価格が旧税率又は新税率の表示となっているのかを明らかにする必要がある。

1 新税率の適用後においても一時的に旧税率に基づく税込価格の表示が残る場合
個々の値札等においては「○○○円」と旧税率に基づく税込価格を表示し、別途、店内の消費者が商品等を選択する際に目に付き易い場所に、明瞭に、「旧税率(8%)に基づく税込価格を表示している商品については、レジにてあらためて新税率(10%)に基づき精算させていただきます。」といった掲示を行う。

2 新税率の適用前から新税率に基づく税込価格の表示が行われる場合
個々の値札等においては「○○○円」と新税率に基づく税込価格を表示し、別途、当該商品の置かれている棚等の消費者が商品等を選択する際に目に付き易い場所に、明瞭に、「既に新税率(10%)に基づく税込価格を表示している商品については、9月30日まではレジにて8%の税率により精算させていただきます。」といった掲示を行う。

(注)本ガイドラインは、消費税率の 10%への引上げに向けて、記述の修正を行っています。(平成31年3月29日)【新旧対照表】

 

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