居住用賃貸建物



賃貸建物


*住宅の貸付の用に供しないことが明らかな建物
建物の構造及び設備の状況その他の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなもの
 居住用賃貸建物=(*以外)   ⇔   事業用(店舗・旅館・ホテル)
棚卸資産(住宅貸付供用以外)

 

  第7節 居住用賃貸建物

(住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物の範囲)
11−7−1 居住用賃貸建物は、住宅の貸付け(法別表第一第13号《住宅の貸付け》に掲げる住宅の貸付けをいう。以下この節において同じ。)
の用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。以下この節において同じ。)以外の建物であることが要件となるが、
住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」とは、
建物の構造及び設備の状況その他の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなもの
をいい、例えば、次に掲げるようなものがこれに該当する。(令2課消2-9により追加)
(1) 建物の全てが店舗等の事業用施設である建物など、建物の設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物
(2) 旅館又はホテルなど、旅館業法第2条第1項《定義》に規定する「旅館業」に係る施設の貸付けに供することが明らかな建物
(3) 棚卸資産として取得した建物であって、所有している間、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかなもの


(居住用賃貸建物の判定時期)
11−7−2 居住用賃貸建物に該当するかどうかは、課税仕入れを行った日(自己建設資産にあっては、法第12条の4第1項第2号《高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例》に定める日。以下11−7−2において同じ。)の状況により判定し、同日において住宅の貸付けの用に供しないことが明らかでない建物(高額特定資産及び調整対象自己建設高額資産に限る。)については、居住用賃貸建物に該当するのであるが、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の末日において、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかにされたときは、居住用賃貸建物に該当しないものとして差し支えない。(令2課消2-9により追加)

(合理的区分の方法)
11−7−3 令第50条の2第1項《仕入れに係る消費税額の控除の対象外となる居住用賃貸建物の範囲》に規定する「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分がある居住用賃貸建物」とは、例えば、建物の一部が店舗用の構造等となっている居住用賃貸建物をいい、同項に規定する「合理的に区分している」とは、使用面積割合や使用面積に対する建設原価の割合など、その建物の実態に応じた合理的な基準により区分していることをいう。(令2課消2-9により追加)

(居住用賃貸建物が自己建設高額特定資産である場合)
11−7−4 法第12条の4第1項《高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例》に規定する自己建設高額特定資産である居住用賃貸建物に係る法第30条第10項《居住用賃貸建物に係る仕入税額控除の制限》の規定の適用は、令第50条の2第2項《仕入れに係る消費税額の控除の対象外となる居住用賃貸建物の範囲》の規定により、令第25条の5第2項《高額特定資産の範囲等》に規定する累計額が1,000万円以上となった課税期間以後の当該建物に係る課税仕入れ等の税額について適用されることから、当該課税期間の前課税期間以前に行われた当該建物に係る課税仕入れ等の税額は、法第30条第1項《仕入れに係る消費税額の控除の規定の適用があることに留意する。(令2課消2-9により追加)

(居住用賃貸建物に係る資本的支出)
11−7−5 法第30条第10項《居住用賃貸建物に係る仕入税額控除の制限》に規定する「居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額」には、当該建物に係る資本的支出(事業の用に供されている資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額をいう。以下11−7−5及び12−2−5において同じ。)に係る課税仕入れ等の税額が含まれるのであるから留意する。
 なお、例えば、以下に掲げる場合のように、建物に係る資本的支出自体が居住用賃貸建物の課税仕入れ等に該当しない場合、同項の規定は適用されないことに留意する。(令2課消2-9により追加)

(1) 建物に係る資本的支出自体が高額特定資産の仕入れ等を行った場合(法第12条の4第1項《高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例》に規定する高額特定資産の仕入れ等を行った場合をいう。)に該当しない場合

(2) 建物に係る資本的支出自体が住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物に係る課税仕入れ等に該当する場合
 

第6節 居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の調整

(課税賃貸用の意義)
12−6−1 法第35条の2第1項《居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の仕入れに係る消費税額の調整》の規定は、居住用賃貸建物の全部又は一部を住宅の貸付け(法別表第一第13号《住宅の貸付け》に掲げる住宅の貸付けをいう。以下12−6−1において同じ。)以外の貸付けの用に供した場合にのみ適用されるのであるから、当該建物に関連する資産の譲渡等が別にあったとしても、当該建物の全部又は一部を住宅の貸付け以外の貸付けの用に供しない限り、当該規定は適用されないのであるから留意する。(令2課消2-9により追加)

(居住用賃貸建物を中途で売却した場合等の法第35条の2第1項の不適用)
12−6−2 法第35条の2第1項《居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の仕入れに係る消費税額の調整》の規定は、居住用賃貸建物を同項に規定する第三年度の課税期間の末日において有している場合に適用があるのであるから、当該居住用賃貸建物について除却又は譲渡等があったため、当該第三年度の課税期間の末日において当該居住用賃貸建物を有していない場合には、同項の規定の適用はないことに留意する。(令2課消2-9により追加)

(注) 居住用賃貸建物の全部又は一部を調整期間(同項に規定する調整期間をいう。)に他の者に譲渡した場合は、法第35条の2第2項の規定が適用されるのであるから留意する。
 
 
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消費税法
(非課税)
第6条 国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。
2 (略)
別表第一(第6条、第12条の2、第12条の3、第30条、第35の2 関係)
十三 住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分をいう。)の貸付け(当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合(当該契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合を含む。)に限るものとし、一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)
消費税法施行令
(住宅の貸付けから除外される場合)
第16条の2 法別表第1第13号に規定する政令で定める場合は、同号に規定する住宅の貸付けに係る期間が
1月に満たない場合及び当該貸付けが旅館業法(昭和23年法律第138号)第2条第1項(定義)に規定する旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合とする。
消費税法
(仕入れに係る消費税額の控除)
第30条 1-9(略)
10 第1項の規定は、事業者が国内において行う別表第1第13号に掲げる住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。以下この項において同じ。)以外の建物(第12条の4第1項に規定する高額特定資産又は同条第2項に規定する調整対象自己建設高額資産に該当するものに限る。第35条の2において「居住用賃貸建物」という。)に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。
(以下略)  
姫路
・消費税法改正のお知らせ(令和2年4月国税庁)⇒  r02kaisei.pdf (nta.go.jp)

・居住用賃貸建物の取得等に係る仕入税額控除の制限等(令和2年度税制改正)⇒ 01-13.pdf (nta.go.jp)

居住用賃貸建物に係る控除対象外消費税額等について


居住用賃貸建物に係る控除対象外消費税額等について
 
【照会要旨】
 不動産賃貸業を営む当社(3月決算)は、X1年3月期において消費税法第30条第10項((居住用賃貸建物に係る仕入税額控除の制限※1))に規定する居住用賃貸建物(※2)を取得し、事業の用に供しました。
 当社は消費税等の経理処理について税抜経理方式を適用していますが、同項の規定によりX1年3月期に対応する課税期間(当社の事業年度となります。)において仕入税額控除ができない当該建物に係る課税仕入れ等の税額に相当する金額は、法人税法上、資産に係る控除対象外消費税額等として損金の額に算入できますか。
 また、当該建物については、取得から2年以内に住宅の貸付け以外の貸付けの用に供する計画があり、これが実行された後に当社が継続して当該建物を保有する場合には、X3年3月期において仕入れに係る消費税額が調整され(消法35の21)、仮受消費税等の金額から仮払消費税等の金額を控除した金額と納付すべき消費税等の額に差額が生じますが、この差額は益金の額に算入することになりますか。
【回答要旨】
 いずれも照会意見のとおり取り扱われることとなります。

(理由)
 事業者が、国内において行う居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象とはなりません(消法30I)。
 ただし、この規定の適用を受けた居住用賃貸建物について、その仕入れ等の日から一定期間内に課税賃貸用(非課税とされる住宅の貸付け以外の貸付けの用)に供した場合や一定期間内に他の者に譲渡した場合には、仕入れに係る消費税額を調整することとされています(消法35の2、以下この調整を「居住用賃貸建物の仕入控除税額の調整計算」といいます。)。
 また、資産に係る控除対象外消費税額等とは、内国法人がその課税期間につき消費税法第30条第1項の規定の適用を受ける場合で、税抜経理方式を適用したときにおける課税仕入れ等の税額とこの税額に係る地方消費税の額に相当する金額の合計額のうち、同項の規定による控除をすることができない金額とこの金額に係る地方消費税の額に相当する金額の合計額でそれぞれの資産に係るものとされています(法令139の45)。
 税抜経理方式を適用する貴社が、消費税の申告に当たり消費税法第30条第1項の規定に基づき仕入税額控除の計算を行う場合において、同項の規定による控除することができない仮払消費税等の額は、控除対象外消費税額等に該当することになります。
 したがって、貴社が取得した居住用賃貸建物に係る仮払消費税等の額は、資産に係る控除対象外消費税額等として、法人税法施行令第139条の4((資産に係る控除対象外消費税額等の損金算入))第1項から第4項までの規定により、X1年3月期以降の事業年度において、貴社が損金経理した金額のうち一定の金額を損金の額に算入することができます。
 また、ご照会の建物について居住用賃貸建物の仕入控除税額の調整計算が行われた場合には、X3年3月期における控除対象仕入税額が増加するため、仮受消費税等の金額から仮払消費税等の金額を控除した金額と納付すべき消費税等の額に差額が生じますが、当該差額はX3年3月期の益金の額に算入されることになります(平成元年3月1日直法2-1「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」6)。
 なお、X3年3月期において居住用賃貸建物の仕入控除税額の調整計算が行われた場合であっても、当該計算は資産を取得した課税期間(事業年度)の仕入控除税額を修正するものではなく、また、法人税法上、これに対応して経過した事業年度における処理を修正する規定もないため、X1年3月期に生じた控除対象外消費税額等を遡及して修正する必要はありません。

[参考]
※1 消費税法第30条第10項(居住用賃貸建物に係る仕入税額控除の制限)の規定は令和2年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れ等の税額について適用されます。ただし、令和2年3月31日までに締結した契約に基づき令和2年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れ等については、当該規定は適用されません。

※2 「居住用賃貸建物」とは、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含みます。)以外の建物であって高額特定資産(注1)又は調整対象自己建設高額資産(注2)に該当するものをいいます。
 なお、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」とは、建物の構造や設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなものをいい、例えば、その全てが店舗である建物など建物の構造や設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物が該当します。

(注1)「高額特定資産」とは、一の取引単位につき、課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜き)が
1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます。
 また、「調整対象固定資産」とは、棚卸資産以外の資産で、建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で消費税等を除いた税抜価格が100万円以上のものをいいます。

(注2)「調整対象自己建設高額資産」とは、他の者との契約に基づき、又は事業者の棚卸資産として自ら建設等をした棚卸資産で、その建設等に要した課税仕入れに係る支払対価の額の100/110に相当する金額等の累計額が1,000万円以上となったものをいいます。
【関係法令通達】

 法人税法施行令第139条の4
 消費税法第2条第1項第16号、第12条の4、第30条、第35条の2、 令2改正法附則第44条
 消費税法施行令第5条
 平成元年3月1日直法2-1「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」1(14)、6

注記 令和3年8月1日現在施行の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、
この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

 

居住用賃貸建物を取得後一定期間内に民泊サービスの用に供した場合

  居住用賃貸建物を取得後一定期間内に民泊サービスの用に供した場合
【照会要旨】
 当社(3月決算法人)は、X0年3月に3階建てのアパートを取得しましたが、このアパートについては、「居住用賃貸建物」に該当するものとして、その取得に係る消費税額はX0年3月期に対応する課税期間の消費税の申告上、仕入税額控除の対象となりませんでした。
 ところで、当社は、X2年1月に、このアパートの一部(1階部分)において民泊サービス(住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業)を開始する計画としているところ、以後、1階部分は住宅として貸し付けるものではなくなりますので、仕入税額控除が制限されていたアパートの取得に係る消費税額の一部を、X2年3月期に対応する課税期間の申告において仕入税額控除の対象とすることはできないでしょうか。
 
【回答要旨】
 仕入税額控除が制限されていたアパートの取得に係る消費税額の一部については、一定の方法により計算した金額をX2年3月期に対応する課税期間の仕入れに係る消費税額に加算することにより、仕入税額控除の対象とすることになります(居住用賃貸建物の取得等に係る消費税額の調整)。

(理由)
 事業者が国内において行う居住用賃貸建物(住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物)に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象となりません(居住用賃貸建物の取得等に係る仕入税額控除の制限)。
 ただし、この制限により仕入税額控除の対象とならなかった課税仕入れ等の税額については、その居住用賃貸建物の仕入れ等の日の属する課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間(以下「第3年度の課税期間」といいます。)の末日までの間にその居住用賃貸建物を非課税となる住宅の貸付け以外の貸付けの用(以下「課税賃貸用」といいます。)に供した場合又は譲渡した場合には、仕入控除税額の調整を行うこととなります。
 具体的には、その居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額に一定の方法により計算した割合を乗じて計算した金額に相当する消費税額を、第3年度の課税期間又は譲渡した日の属する課税期間の仕入れに係る消費税額に加算することになります(居住用賃貸建物の取得等に係る消費税額の調整)。
 「民泊サービス」とは、一般に、住宅の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供することをいい、これは非課税となる住宅の貸付け以外の貸付けである「施設の貸付け」に当たることから、居住用賃貸建物の一部を民泊サービスの用に供した場合は、「居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合」に該当します。
 したがって、照会の場合において、民泊サービスを第3年度の課税期間(X2年3月期に対応する課税期間)の末日までに開始した場合には、居住用賃貸建物の取得等に係る消費税額の調整の適用対象となります。

<調整計算の例> 第3年度の課税期間(X2年3月期に対応する課税期間)の仕入控除税額に加算

・居住用賃貸建物の課税仕入れ等に係る消費税額:500万円
・居住用賃貸部分の賃料合計:180万円
・課税賃貸用(民泊サービスの用)に供した部分の賃料:20万円
 

○第3年度の課税期間(X2年3月期に対応する課税期間)の仕入控除税額に加算する消費税額=

(注)調整期間とは、居住用賃貸建物の仕入れ等の日から第3年度の課税期間(X2年3月期に対応する課税期間)の末日までの間をいいます。

【関係法令通達】
消費税法第30条第10項、第35条の2、消費税法施行令第53条の2第1項、消費税法基本通達6−13−4

注記 令和3年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、
この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

 

建物の一部が店舗用である居住用賃貸建物の取得に係る仕入税額控除の制限

建物の一部が店舗用となっている居住用賃貸建物の取得に係る仕入税額控除の制限
【照会要旨】
 当社は、5階建ての居住用賃貸建物を取得しましたが、1階の一部分が店舗用の構造・設備となっています。
 ところで、居住用賃貸建物について、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分(以下「居住用賃貸以外の部分」といいます。)とそれ以外の部分(以下「居住用賃貸部分」といいます。)とに合理的に区分しているときは、その居住用賃貸部分に係る課税仕入れ等の税額についてのみ、仕入税額控除が制限されるとのことですが、「居住用賃貸以外の部分」と「居住用賃貸部分」に共通して使用される廊下や共用のエントランスなど(以下「共用部分」といいます。)について、どのように考えればよいでしょうか。
 
【回答要旨】
 建物の一部が店舗用など、「居住用賃貸以外の部分」がある居住用賃貸建物について、その居住用賃貸建物を、その構造及び設備その他の状況により「居住用賃貸以外の部分」と「居住用賃貸部分」とに合理的に区分しているときは、その居住用賃貸部分に係る課税仕入れ等の税額についてのみ、仕入税額控除が制限されます。
 この場合の「合理的に区分している」とは、使用面積割合や使用面積に対する建設原価の割合など、その建物の実態に応じた合理的な基準により区分していることをいいます。
 このため、共用部分について、これらの合理的な基準により「居住用賃貸以外の部分」と「居住用賃貸部分」とに区分しているときは、その共有部分のうち居住用賃貸部分に区分された部分に係る課税仕入れ等の税額について、仕入税額控除が制限されます。

(注1) 居住用賃貸建物は、その附属設備を含めて税抜価格が1,000万円以上の建物、具体的には高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産に該当するものをいいますので、居住用賃貸建物について合理的な区分を行った結果、居住用賃貸部分の税抜価額が1,000万円未満であったとしても、当該居住用賃貸部分については、仕入税額控除が制限されることとなります。
(注2) 居住用賃貸部分にのみに使用される廊下やエントランスなどを「居住用賃貸以外の部分」と「居住用賃貸部分」の使用面積割合で区分することは、合理的に区分しているとはいえません。
<合理的区分の例> 建物全体の面積に占める居住用賃貸部分の面積の割合で合理的に区分する。

・居住用賃貸建物の課税仕入れ等に係る消費税額:200万円
・店舗(居住用賃貸以外の部分)の面積:200平方メートル、居住用賃貸部分の面積:800平方メートル
・「居住用賃貸以外の部分」と「居住用賃貸部分」に共通して使用されるエントランスなどの共用部分の面積:100平方メートル

○居住用賃貸部分に係る課税仕入れ等の税額(仕入税額控除が制限される金額)=
 
【関係法令通達】
消費税法第30条第10項、第35条の2、消費税法施行令第50条の2第1項、消費税法基本通達11-7-3

注記
 令和3年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

社宅に係る仕入税額控除

社宅に係る仕入税額控除|国税庁 (nta.go.jp)
【照会要旨】
 社宅や従業員寮の使用料は住宅家賃として非課税になるとのことですが、社宅や従業員寮の取得費、
借上料や維持等に要する費用に係る仕入税額控除の取扱いはどのようになりますか。
【回答要旨】
 住宅家賃については非課税とされていますが、社宅や従業員寮も住宅に該当します。また、その建物が住宅用であれば、他の者に転貸するために借り受ける場合の家賃及びこれを他の者に転貸した場合の家賃ともに住宅家賃に該当します。
 したがって、会社が住宅の所有者から従業員の社宅又は従業員寮用に借り上げる場合の借上料及び借り上げた住宅又は従業員寮を従業員に貸し付ける場合の使用料ともに非課税となる住宅家賃に該当します。
 これらの社宅や従業員寮の取得費、借上料又は維持等に要する費用に係る仕入税額控除の取扱いは次のようになります。

1 自己において取得した社宅や従業員寮の取得費
 使用料を徴収する社宅や従業員寮は、居住用賃貸建物に該当しますので、事業者が、国内において行う社宅や従業員寮の取得に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象となりません。
 なお、従業員から使用料を徴収せず、無償で貸し付けることがその取得の時点で客観的に明らかな社宅や従業員寮は居住用賃貸建物に該当しないことから、その取得費は仕入税額控除の対象となります。この場合の個別対応方式による課税仕入れ等の区分は、原則として課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当します。

2 他の者から借り上げている社宅や従業員寮の借上料
 従業員に転貸するために借り受ける場合の家賃も住宅家賃として非課税になりますから、課税仕入れには該当しません。したがって、仕入税額控除の対象となりません。

3 社宅や従業員寮の維持費
 自己において取得したものか他の者から借りているものかを問わず、その修繕費用、備品購入費用等は仕入税額控除の対象となります。
 この場合の個別対応方式による課税仕入れ等の区分は、その社宅や従業員寮について従業員から使用料を徴収する場合は、その他の資産の譲渡等にのみ要するものに、従業員から使用料を徴収せず、無償で貸し付けている場合は、原則として課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものにそれぞれ該当します。
 なお、その費用が居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等に該当する資本的支出となるもの並びに管理人の給与、固定資産税など不課税となるもの及び非課税取引に該当するものは、仕入税額控除の対象になりません。

(注)
1 居住用賃貸建物とは、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含みます。)以外の建物であって、高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産に該当するものをいいます。

2 高額特定資産とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます。
 また、調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で消費税等を除いた税抜価格が100万円以上のものをいいます。

3 調整対象自己建設高額資産とは、他の者との契約に基づき、又は事業者の棚卸資産として自ら建設等をした棚卸資産で、その建設等に要した課税仕入れに係る支払対価の額の100/110に相当する金額等の累計額が1,000万円以上となったものをいいます。
【関係法令通達】
 消費税法第30条第2項、第10項、消費税法基本通達11-7-5
注記  令和3年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、
この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

 
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