免税事業者の経理処理


【改正】(免税事業者の消費税等の処理)
消法第9条第1項本文《 小規模事業者に係る納税義務の免除 》の規定により 消費税を納める義務が免除される法人 については、
その行う取引について 税抜経理方式で経理をしている場合 であっても 、2《 税抜経理方式と税込経理方式の選択適用 》にかかわらず、
税込経理方式を適用して法人税の課税所得金額を計算する ことに留意する。
【解説】
本通達は、免税事業者の行う取引に係る消費税等の処理 は 税込経理方式を適用する ことを明らかにするものである。
旧消費税経理通達5 本文《免税事業者等の消費税等の処理》では、消費税の納税義務が免除されている法人 については、
その行う取引に係る消費税等の処理につき 税込経理方式による こととしていた。
また、旧消費税経理通達 5 (注)1では、本文の取扱いは、
消費税等が課されないこととされている資産の譲渡等のみを行う法人 についても 適用がある こととしていた。
令和3年改正通達では 、インボイス制度導入に伴い、法人が行う取引に係る消費税等の経理処理について、
課税仕入れ等の税額がないのに仮払消費税等を計上する経理が行われていた場合における課税所得金額の計算を明らかにする見直しを行った 。

具体的には、免税事業者 については、その行う取引について 税抜経理方式で経理をしている場合 であっても、
税込経理方式を適用して法人税の課税所得金額を計算する こと等の規定振りの変更を行った。

なお、旧消費税経理通達 5 (注)1 の取扱いは 、
新消費税経理通達3 (注)《売上げと仕入れで経理方式が異なる場合の取扱い》において新たに規定することとした。
いずれにしても、改正前後で実質的な内容の変更はない 
また、旧消費税経理通達 5 (注)2 では、
免税事業者の行う取引に係る消費税等の額 は、益金の額若しくは損金の額又は資産の取得価額等に算入される ことになることとしていたが、
仮に 税抜経理方式で経理を行っていた場合 であっても、本通達及び新消費税経理通達3 (注 )において、
税込経理方式を適用して法人税の課税所得金額を計算する ことを明らかにし、その取引の内容に応じた課税関係となることは自明であることから削除した。




 

No.6905 税抜経理と税込経理の選択適用(法人の場合)

[令和3年9月1日現在法令等]


<対象税目>

消費税


<概要>

消費税および地方消費税の経理処理として「税抜経理方式」と「税込経理方式」とがあり、どちらの方式を選択してもよいことになっていますが、選択した方式は、その法人が行うすべての取引に適用するのが原則です。

 

ただし、次の条件の下で、「税込経理方式」と「税抜経理方式」を併用して選択適用することができます。

 
<税抜経理方式について>

「税抜経理方式」を選択適用する場合は、売上げなどの収益に係る取引について必ず「税抜経理」をしなければなりません。しかし、固定資産、棚卸資産および繰延資産(以下「固定資産等」といいます。)の取得に関する取引または販売費、一般管理費など(以下「経費等」といいます。)の支出に関する取引のいずれかの取引について「税込経理方式を選択適用」することができます。また、固定資産等のうち棚卸資産の取得に関する取引については、継続して適用することを条件として固定資産および繰延資産と異なる経理処理方式を適用することができます。

 

(注)「税込経理方式」と「税抜経理方式」とを併用して選択適用する場合でも、個々の固定資産等または個々の経費等について異なる経理方式を適用することはできません。例えば、固定資産のうちある固定資産については税抜きとし、そのほかの固定資産については税込みとするというようなことは認められません。

 
<税込経理方式について>

売上げなどの収益に係る取引について「税込経理方式」を選択適用する場合は、固定資産等の取得に係る取引および経費等に係る取引のすべてについて「税込経理」をすることが必要です。

 

(注)免税事業者は、「税込経理方式」を適用しなければならないことになっています。


根拠法令等

平元.3直法2-1
No.6905 税抜経理と税込経理の選択適用(法人の場合)|国税庁 (nta.go.jp)


 

No.6909 税抜経理と税込経理の選択適用(個人の場合)

[令和3年9月1日現在法令等]


<対象税目>

消費税


<概要>

消費税および地方消費税の経理処理としては、「税抜経理方式」と「税込経理方式」とがあり、どちらの方式を選択してもよいことになっていますが、選択した方式はその個人が行う「すべての取引」に適用するのが原則です。

 

ただし、次の場合には、「税抜経理方式と税込経理方式を併用」することができます。

 

なお、「免税事業者」は、税込経理方式を適用しなければなりませんので、次の場合であっても、税抜経理方式と税込経理方式を併用することはできません。

 
<2以上の所得を生ずべき業務を行う場合>

個人が不動産所得、事業所得、山林所得または雑所得(以下「事業所得等」といいます。)を生ずべき業務のうち2以上の所得を生ずべき業務を行う場合には、事業所得等の種類ごとに税「抜経理方式」または「税込経理方式」のどちらかを選択適用することができます。

 

(注)譲渡所得の基因となる資産の譲渡で消費税が課されるものについては、その資産をその用に使用していた事業所得等を生ずべき「業務と同一の経理処理方式」を適用します。

 
<収入に係る取引について税抜経理方式を適用している場合>

個人が売上げなどの収入に係る取引について「税抜経理方式」を適用している場合でも、固定資産、繰延資産、棚卸資産および山林(以下「固定資産等」といいます。)の取得に関する取引、または販売費、一般管理費など(以下「経費等」といいます。)の支出に関する取引のいずれか一方の取引について、「税込経理方式」を適用することができます。

 

また、固定資産等のうち棚卸資産または山林の取得に関する取引について、継続して適用することを条件として固定資産および繰延資産と異なる経理処理方式を選択適用することができます。

 

(注1)「税込経理方式」と「税抜経理方式」とを併用する場合でも、個々の固定資産等または個々の経費等について異なる経理方式を適用することはできません。

 

例えば、固定資産のうち、ある固定資産については税抜きとし、そのほかの固定資産については税込みとするというようなことは認められません。

 

(注2)売上げなどの収入に係る取引について「税込経理方式」を適用している場合は、固定資産等の取得に関する取引および経費等の支出に関する取引について「税抜経理方式」を採用することはできません。

 
<根拠法令等>

平元.3直所3-8外
No.6909 税抜経理と税込経理の選択適用(個人の場合)|国税庁 (nta.go.jp)


 
 

No.6913 税抜経理と税込経理の併用と経理処理

[令和3年9月1日現在法令等]


<対象税目>

消費税


<概要>

「税抜経理方式」と「税込経理方式」の併用により生じた、「仮受消費税等の合計額」から「仮払消費税等の合計額」を差し引いた金額と「納付すべき消費税等の額」または「還付されるべき消費税等の額」との差額については、個人事業者においては、その課税期間を含む年の「総収入金額」に算入し、法人においては、その課税期間を含む事業年度の「益金の額」に算入します。

 
<内容>

消費税および地方消費税(以下「消費税等」といいます。)の経理処理について、「税抜経理方式」を選択適用した場合の納付すべき税額または還付を受ける税額の経理処理は次のとおりです。

 

事業者がすべての取引について「税抜経理方式」を選択適用した場合には、課税売上げに対する消費税等は「仮受消費税等」とし、また、課税仕入れに対する消費税等は「仮払消費税等」とします。

 

したがって、事業者が簡易課税制度の適用を受けない場合には、その課税期間の「仮受消費税等の合計額」から「仮払消費税等の合計額(控除対象外消費税額等に相当する金額を除きます。)」を差し引いた金額が「納付すべき税額」または「還付を受ける税額」となることから、通常、所得金額や損益には影響しません。

 

しかし、収益に係る取引について「税抜経理方式」を選択適用する場合には、一定の条件の下に「税込経理方式」との併用が認められている等の理由により、「仮受消費税等の合計額」から「仮払消費税等の合計額」を差し引いた金額が「納付税額」または「還付税額」とはならない場合が生じます。

 

例えば、課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95パーセント以上(平成24年4月1日以後開始する課税期間については、課税期間の課税売上高が5億円以下で課税売上割合が95パーセント以上)の事業者が収益に係る取引、固定資産に係る取引については「税抜経理方式」、経費などの支出に係る取引については「税込経理方式」を選択適用して、簡易課税制度の適用をしない場合には、「仮受消費税等の合計額」から「仮払消費税等の合計額」を差し引いた金額と「納付すべき税額」または「還付されるべき税額」は一致しません。これは、経費などについて税込経理して、経費などに含まれる消費税等を仮払消費税等としなかったためであり、経費などに含まれる消費税等の額がこの一致しない差額に相当します。

 

また、所得金額または損益の点から検討すると、この例では、税込経理した経費などに含まれる消費税等の額だけ経費などの額が多いことになります。

 

このため、「税抜経理方式」と「税込経理方式」の併用により生じた、「仮受消費税等の合計額」から「仮払消費税等の合計額」を差し引いた金額と「納付すべき消費税等の額」または「還付されるべき消費税等の額」との差額については、個人事業者においては、その課税期間を含む年の「総収入金額に算入」し、法人においては、その課税期間を含む事業年度の「益金の額に算入」します。

 
根拠法令等

平元.3直所3-8外、平元.3直法2-1
No.6913 税抜経理と税込経理の併用と経理処理|国税庁 (nta.go.jp)





 

基準期間において免税事業者であった者の課税売上高の判定


【照会要旨】
当期の基準期間となる課税期間(X2年4月1日〜X3年3月31日)の 課税売上高が1,000万円 を超えていますが、
その基準期間となる課税期間の基準期間(X0年4月1日〜X1年3月31日)における 課税売上高が1,000万円 以下であったため
その 基準期間となる課税期間(X2年4月1日〜X3年3月31日)については
免税事業者となっていた場合当期の基準期間の課税売上高は税抜きと考えてよいのでしょうか
【回答要旨】
基準期間となる課税期間において免税事業者 となっていたのですから、その売上げには消費税は含まれていない こととなります(法9@)。
したがって、基準期間となる課税期間の課税資産の譲渡等の対価の額、すなわち、その課税売上金額 がそのまま 基準期間の課税売上高 となることになります。
【関係法令通達】 消費税法第9条第1項、消費税法基本通達1-4-5
注記 令和3年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、
この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。


消費税法基本通達
(基準期間が免税事業者であった場合の課税売上高)
1−4−5 基準期間である課税期間において免税事業者であった事業者が、当該基準期間である課税期間中に国内において行った
課税資産の譲渡等については消費税等が課されていない。
したがって、その事業者の基準期間における課税売上高の算定に当たっては、免税事業者であった基準期間である課税期間中に
当該事業者が国内において行った課税資産の譲渡等に伴って収受し、又は収受すべき金銭等の全額が
当該事業者のその基準期間における課税売上高となることに留意する。(平9課消2−5により改正)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/22/05.htm


 

特定期間の課税売上高による免税事業者の判定(質疑応答事例)

特定期間の課税売上高による免税事業者の判定
【照会要旨】
当社は、前期(X-1年4月1日〜X年3月31日)の課税売上高が1,000万円以下でしたが、
当期(X年4月1日〜X+1年3月31日)の中間決算における 課税売上高 は 1,000万円 を超えることとなりそうです。
この場合、来期(X+1年4月1日〜X+2年3月31日)は免税事業者となるでしょうか。
【回答要旨】
事業者のうち、その基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者は、原則として免税事業者に該当しますが、
平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度については、
基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合には、課税事業者となります。

照会の場合、来期の基準期間である前期の課税売上高は1,000万円以下ですが、
当期の中間決算における課税売上高が1,000万円を超えることとなったときは、
特定期間(X年4月1日〜X年9月30日)の課税売上高が1,000万円を超えた場合に該当しますので、来期は課税事業者となります。

なお、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかの判定については、
課税売上高に代えて、特定期間中に支払った給与等の金額により判定することもできますので、
特定期間の課税売上高が1,000万円を超えていても、給与等支払額が1,000万円を超えていなければ、
給与等支払額により免税事業者と判定することができます。

(参考)特定期間とは、次の期間をいいます。

個人事業者の場合・・・ その年の前年1月1日から6月30日までの期間
法人の場合   ・・・ 原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間
【関係法令通達】
 消費税法第9条、第9条の2、消費税法施行規則第11条の2、消費税法基本通達1-5-23

注記 令和3年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、
この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。 

 

事業者免税点制度の適用要件が見直されました。


・消費税法改正のお知らせ(平成23年9月)(PDF/1,199KB
当課税期間の「基準期間における課税売上高」が1,000万円以下であっても、
当課税期間の「前年の1月1日(法人の場合は前事業年度開始の日)から6か月間」の
課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間においては課税事業者となります。
なお、課税売上高に代えて、「給与等支払額の合計額」により判定することもできます。
【適用開始時期】
 平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度から適用されます。 
【特定期間】
※ 6か月間の判定期間(「特定期間」といいます。)は平成24年1月1日から始まります。 
「特定期間」は、個人事業者の場合はその年の前年の1月1日から6月30日までの期間、
法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間となります。
・なお、新たに設立した法人で決算期変更を行った法人等は、その法人の設立日や決算期変更の時期がいつであるかにより特定期間が異なる場合があります。
そのような場合における特定期間については、
消費税法第9条の2 事業者免税点の判定について(新たに設立した法人等の特定期間)(平成23年9月)(PDF/344KB)」をご参照ください。
※ 「消費税法第9条の2 事業者免税点の判定について(新たに設立した法人等の特定期間)(平成23年9月)」の一部訂正について(平成23年12月) 
<J-Net21 経営課題を解決する羅針盤 ビジネスQ&A>
・消費税の事業者免税点制度について教えてください。
➡ https://j-net21.smrj.go.jp/qa/financial/Q0778.html
<東京税理士会(一般の方へ)>
・やさしい税の話「消費税の計算方法」
➡ https://www.tokyozeirishikai.or.jp/general/zei/shouhi/

6501 納税義務の免除

No.6501 納税義務の免除|国税庁 (nta.go.jp)
[令和3年9月1日現在法令等]


<対象税目>

消費税


<概要>

消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、
その課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されます(注)。

(注)その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間(※)における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、その課税期間から課税事業者となります。なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

※ 特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間をいいます。

詳しくは、パンフレット「消費税法改正のお知らせ」(平成23年9月)および
「消費税法第9条の2 事業者免税点制度の判定について(新たに設立した法人等の特定期間)(平成23年9月)」をご参照ください。


<消費税の納税義務の免除>

納税義務が免除される事業者(以下「免税事業者」といいます。)は、課税資産の譲渡等を行っても、その課税期間は消費税が課税されないことになり、課税仕入れおよび課税貨物に係る消費税額の控除もできません(課税売上げに係る消費税額よりも課税仕入れ等に係る消費税額が多い場合でも、還付を受けることはできません。)。

また、課税売上高は、課税取引の売上金額と輸出取引などの免税売上金額の合計金額から、売上返品や売上値引き、売上割戻しなどの合計額を差し引いた残額をいいます(課税取引の売上金額および売上返品等の金額の合計額には、消費税額と地方消費税額は含みません。)。

なお、基準期間における課税売上高は、原則として、個人事業者の場合は前々年の課税売上高のことをいい、法人の場合は前々事業年度の課税売上高のことをいいます(注1)。基準期間が1年でない法人の場合は、1年相当に換算した金額により判定することとされており、具体的には、基準期間中の課税売上高を、基準期間に含まれる事業年度の月数で割った額に12を掛けて計算した金額により判定します。

新たに設立された法人については、設立1期目および2期目の基準期間はありませんので、原則として納税義務が免除されます。

しかし、基準期間のない事業年度であっても、その事業年度の開始の日における資本金の額または出資の金額が、1,000万円以上である法人や特定新規設立法人に該当する法人の場合は、納税義務は免除されません(注2)。

詳しくは、コード6503「基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」をご参照してください。

(注1)基準期間が免税事業者の場合は、その基準期間である課税期間中の課税売上高には消費税が含まれていないので、その基準期間の課税売上高の計算時には税抜きの処理を行う必要はありません。

(注2)特定新規設立法人とは、平成26年4月1日以後に設立した新規設立法人(その事業年度の基準期間がない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円未満の法人)のうち、次の1、2のいずれにも該当する法人です。

1 その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者によりその新規設立法人の株式等の50パーセント超を直接または間接に保有される場合など、他の者によりその新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること。

2 上記1の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者およびその他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)のその新規設立法人のその事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超えていること。


<課税事業者を選択する旨の届出>

免税事業者は、仕入れ等にかかった消費税額の控除ができないので、課税売上げに係る消費税額よりも課税仕入れ等に係る消費税額が多い場合でも、還付を受けることはできません。

輸出業者のように経常的に消費税額が還付になる事業者等は、課税事業者となることを選択することによって還付を受けることができます。

課税事業者となるためには、納税地の所轄税務署長に「消費税課税事業者選択届出書」を提出することが必要です。

この届出書は原則として、適用しようとする課税期間の初日の前日までに提出することが必要です。

この届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、原則として、課税事業者となった日から2年間は免税事業者となることはできません。

なお、免税事業者に戻ろうとする場合には、免税事業者に戻ろうとする課税期間の初日の前日までに「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出する必要があります。ただし、消費税課税事業者選択届出書を提出した事業者が、課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中に、国内において調整対象固定資産(注)の課税仕入れや調整対象固定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り(以下「調整対象固定資産の仕入れ等」といいます。)を行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間の確定申告を一般課税で行う場合には、原則として、その調整対象固定資産の仕入れ等を行った課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出することはできず、免税事業者となることはできません。また、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出し、簡易課税制度を選択することもできません。

詳しくは、パンフレット「消費税法改正のお知らせ」(平成22年4月)をご参照ください。

(注) 「調整対象固定資産」とは、棚卸資産以外の資産で、建物およびその付属設備、構築物、機械および装置、船舶、航空機、車両および運搬具、工具、器具および備品、鉱業権その他の資産で一の取引単位の価額(消費税および地方消費税に相当する額を除いた価額)が100万円以上のものをいいます。

届出書の詳細については、コード6629「消費税の各種届出書」をご参照ください。


<対象者または対象物>

事業者


<根拠法令等>

消法2、9、9の2、12の2、37、消基通1-4-1〜11、1-4-14、1-4-15、1-4-15の2、1-5-15、1-5-15の2、1-5-16、1-5-23


<関連リンク>

※新型コロナウィルス感染症に関する対応や税制上の措置については、こちらをご覧ください。


<関連コード>

<QAリンク>
  1. Q1 免税事業者の消費税の還付
  2. Q2 消費税課税事業者選択届出書の効力


 

No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例

[令和3年9月1日現在法令等]


<対象税目>

消費税


<概要>

消費税においては、中小事業者の納税事務負担などに配慮して、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者については、納税義務を免除することとされています。新たに設立された法人については、設立1期目および2期目の基準期間はありませんので、設立1期目および2期目は原則として納税義務が免除されます。なお、設立3期目以後の課税期間における納税義務の有無の判定については、原則どおり、基準期間における課税売上高で行うこととなります(注)。

 

(注)その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間(※)における課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間から課税事業者となります。なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

 

※ 特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間をいいます。

 

詳しくは、パンフレット「消費税法改正のお知らせ」(平成23年9月)をご参照ください。


<新設法人の納税義務の免除の特例>

その事業年度の基準期間がない法人(社会福祉法人を除きます。)のうち、その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上である法人(以下「新設法人」といいます。)は、その課税期間の納税義務は免除されません。


<特定新規設立法人の納税義務の免除の特例>

その事業年度の基準期間がない資本金1,000万円未満の法人(社会福祉法人を除きます。以下「新規設立法人」といいます。)のうち、その事業年度開始の日において特定要件に該当し、さらにその新規設立法人が特定要件に該当する旨の判定の基礎となった他の者および他の者と特殊な関係にある法人のうちいずれかの者の課税売上高(新規設立法人のその事業年度の基準期間に相当する期間の課税売上高)が5億円を超える法人(以下「特定新規設立法人」といいます。)については、その課税期間の納税義務は免除されません。

 

なお、「特定要件」および「特定要件に該当する旨の判定の基礎となった他の者および他の者と特殊な関係にある法人」については、国税庁質疑応答事例「特定新規設立法人の納税義務免除の特例(特定要件の判定)」および「特定新規設立法人の納税義務免除の特例(特殊関係法人の範囲)」をご参照ください。

 
<新設法人および特定新規設立法人に該当することとなった場合の届出>

基準期間のない事業年度開始の日において新設法人に該当することとなった場合には、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」を、また、特定新規設立法人に該当することとなった場合には、「消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することとされていますが、新設法人については、法人設立届出書に消費税の新設法人に該当する旨および所定の記載事項を記載して提出した場合には、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」の提出があったものとして取り扱われます。


<基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例>

新設法人および特定新規設立法人が、基準期間がない各課税期間中に調整対象固定資産(注)の課税仕入れや調整対象固定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取りを行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間の確定申告を一般課税で行う場合には、その調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から原則として3年間は免税事業者となることはできません。また、簡易課税制度を選択して申告することもできません。

 

詳しくは、パンフレット「消費税法改正のお知らせ」(平成22年4月)をご参照ください。

(注) 「調整対象固定資産」とは、棚卸資産以外の資産で、建物およびその付属設備、構築物、機械および装置、船舶、航空機、車両および運搬具、工具、器具および備品、鉱業権その他の資産で、一の取引単位の価額(消費税および地方消費税に相当する額を除いた価額)が100万円以上のものをいいます。


<対象者または対象物>

「設立1期目」および「2期目で一定の要件に該当する法人」

 
<根拠法令等>

消法9、9の2、12の2、12の3、57、消規26、平22改正法附則35、消基通1-5-15〜22、1-5-23


特定期間の判定


【照会要旨】

 特定期間の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になるとのことですが、特定期間とはどのような期間のことをいうのですか。


【回答要旨】

 事業者のうち、その基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者は、原則として免税事業者に該当しますが、平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度については、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合には、課税事業者となります。

 

(注) 特定期間の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかの判定については、課税売上高に代えて、特定期間中に支払った給与等の金額により判定することもできます。

 

 この場合の特定期間とは、個人事業者にあってはその年の前年1月1日から6月30日までの期間、法人にあっては原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間をいい、その具体的な例は次のとおりです。

 

1.個人事業者及び事業年度が1年の法人の例

 

個人事業者及び事業年度が1年の法人

 

※ 個人事業者の特定期間は、その年の前年1月1日から6月30日までの期間ですので、例えば、事業を行っていない個人の方が3月1日に開業した場合には、3月1日から6月30日までの期間の課税売上高(又は給与等支払額)で判定することとなります。
 また、その前年7月1日から12月31日までの間に開業した場合には、特定期間の課税売上高(又は給与等支払額)がないため判定不要です。

 

2.新たに設立した法人(前事業年度が1年でない法人)の例

 

(1)法人の設立1期目が8か月以上の場合(法9の2C二)

 

法人の設立1期目が8か月以上の場合

 

(2)設立1期目が8か月未満の場合

 

イ 月の途中で設立した法人で前事業年度(7か月半)の決算期末が月の末日の場合(法9の2C二、D、令20の6@一)

 

月の途中で設立した法人で前事業年度(7か月半)の決算期末が月の末日の場合

 

※ 法人設立の日から6か月後は11月14日となりますが、前事業年度の決算期末が月末であるため、6か月後(11月14日)の前月の末日である10月31日が特定期間の末日となります。したがって、前事業年度の5月15日から10月31日までの期間が特定期間となり、その期間の課税売上高(又は給与等支払額)で判定することとなります。

 

ロ 法人の設立1期目が7か月以下の場合(法9の2C三)

 

法人の設立1期目が7か月の場合

 

※1 法人設立の日から前事業年度終了日までに6か月の期間がありますが、前事業年度は7か月以下であるためその期間は特定期間に該当しません。したがって、前事業年度の課税売上高による判定の必要はありません。

 

※2 特定期間がなく課税事業者とならない場合であっても、事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人(法第12条の2第1項に規定する新設法人に該当する法人)は、課税事業者となります。

 

(注) 上記の事例以外にも、新たに設立した法人で決算期変更を行った法人等については、その法人の設立日や決算期変更の時期がいつであるかにより、特定期間が異なる場合があります。詳しくは、「消費税法第9条の2事業者免税点の判定について〜新たに設立した法人等の特定期間〜(平成23年9月)」(PDF/343KB)をご覧ください。


【関係法令通達】

 消費税法第9条の2、消費税法施行令第20条の5、第20条の6

特定期間の判定|国税庁 (nta.go.jp) 

注記 令和3年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、
この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。


No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき

[令和3年9月1日現在法令等]


<対象税目>

消費税


<概要>

個人事業者または法人のその課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合には、消費税の納税義務が免除されます(注)。

 

この基準期間とは、個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度(前々事業年度が1年未満の場合には、事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間をいいます。)のことをいいます。

 

したがって、新たに開業した個人事業者または新たに設立された法人のように、その課税期間について基準期間における課税売上高がないときまたは基準期間がないときは、原則として納税義務が免除されますが、例えば、次のようなときには免除されませんのでご注意ください。

 

(注)その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間(※)における課税売上高が1,000万円を超えた場合、その課税期間から課税事業者となります。なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

 

※ 特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間をいいます。

 

詳しくは、パンフレット「消費税法改正のお知らせ」(平成23年9月)をご覧ください。


 
<内容>

1 相続により事業を承継した年

  その基準期間における課税売上高が1,000万円を超える被相続人の事業を承継したとき 

2 1の翌年および翌々年

  相続人の基準期間における課税売上高と被相続人の基準期間における課税売上高との合計が 1,000万円を超えるとき 

3 法人の設立事業年度およびその翌事業年度

  その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が 1,000万円以上であるとき 

4 特定新規設立法人の設立事業年度およびその翌事業年度

  特定新規設立法人に該当するとき(注) 

5 新設合併の当該合併があった日の属する事業年度

  当該事業年度の基準期間に対応する期間における被合併法人の課税売上高として計算した金額のいずれかが 1,000万円を超えるとき 

6 吸収合併のあった事業年度

  被合併法人の合併法人のその合併があった日の属する事業年度の基準期間に対応する期間における
  課税売上高として計算した金額(被合併法人が2以上ある場合には、いずれかの被合併法人に係る金額)が1,000万円を超えるとき 

7 新設分割子法人の当該分割等のあった日の属する事業年度

  当該事業年度の基準期間に対応する期間における新設分割親法人の課税売上高として計算した金額
 (新設分割親法人が2以上ある場合には、いずれかの新設分割親法人に係る金額)が1,000万円を超えるとき

8 吸収分割のあった事業年度

  分割法人の分割承継法人の吸収分割があった日の属する事業年度の基準期間に対応する期間における
  課税売上高として計算した金額(分割法人が2以上ある場合には、いずれかの分割法人に係る金額)が1,000万円を超えるとき
 

なお、個人事業者がいわゆる法人成りにより新規に法人を設立した場合には、個人事業者であった期間の課税売上高は、その法人の基準期間の課税売上高には含まれません。

 

設備投資が多額にあった場合や、輸出業者のように売上げに係る消費税額よりも仕入れに係る消費税額が多く、経常的に還付が生じる事業者については、免税事業者であっても課税事業者を選択することによって消費税の還付を受けることができます。

 

(注)特定新規設立法人とは、平成26年4月1日以後に設立した新規設立法人(その事業年度の基準期間がない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円未満の法人)のうち、次の@、Aのいずれにも該当する法人です。

 

@ その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者によりその新規設立法人の株式等の50パーセント超を直接または間接に保有される場合など、他の者によりその新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること。

 

A 上記@の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者およびその他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)のその新規設立法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超えていること。

 
<課税事業者の選択>

免税事業者が課税事業者となるためには、原則として、課税事業者になろうとする課税期間の開始の日の前日までに、「消費税課税事業者選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。ただし、新たに事業を開始した場合には、その事業を開始した日の属する課税期間の末日までに提出すれば、その課税期間から課税事業者となります。

 

この届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、原則として、課税事業者となった日から2年間は免税事業者に戻ることはできません。なお、課税事業者を選択していた事業者が免税事業者に戻ろうとするときは、免税事業者に戻ろうとする課税期間の初日の前日までに、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

 

また、課税事業者となった日から消費税課税事業者選択届出書を提出した事業者が、課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過するまでの間に開始した各課税期間(簡易課税制度の適用を受ける課税期間は除きます。)中に国内において調整対象固定資産(注3)の課税仕入れや調整対象固定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り(以下「調整対象固定資産の仕入れ等」といいます。)を行った場合には、その調整対象固定資産の仕入れ等を行った課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ消費税課税事業者選択不適用届出書を提出することができず、また、「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出もできません。

 
詳しくは、パンフレット「消費税法改正のお知らせ」(平成22年4月)をご参照ください。
 

(注3)「調整対象固定資産」とは、棚卸資産以外の資産で、建物およびその附属設備、構築物、機械および装置、船舶、航空機、車両および運搬具、工具、器具および備品、鉱業権その他の資産で、一の取引単位の価額(消費税および地方消費税に相当する額を除いた金額)が100万円以上のものをいいます。
 


<根拠法令等>

消法2、9、9の2、10、11、12、12の2、消令20〜23、平22改正法附則35、消基通1-4-6、1-5-4、1-5-6、1-5-6の2



 

消費税法第9条の2


➤ h2309kaisei.pdf (nta.go.jp)

消費税法第9条の2 事業者免税点の判定について

 〜 新 た に 設 立 し た 法 人 等 の 特 定 期 間 〜
平成23年9月 税務署 
 
平成23年6月に消費税法の一部が改正され、
「当課税期間の基準期間における課税売上高」が 1,000 万円以下であっても、
「特定期間の課税売上高」が 1,000 万円を超えた場合には、
当課税期間においては課税事業者となることとされました
(課税売上高に代えて給与等支払額の合計額により判定することもできます。)。

「特定期間」は、原則として、前事業年度の開始の日以後6か月の期間となりますが、
「新たに設立した法人で決算期変更を行った法人」等は、
その法人の設立日や決算期変更の時期がいつであるかにより「特定期間」が異なる場合があります。
そのような場合における特定期間については、このリーフレットの具体的な事例をご参照ください。
※ 「特定期間」や「給与等支払額」の説明などの改正の概要については、
「消費税法改正のお知らせ(平成23年9月)」をご覧ください。【国税庁ホームページ(www.nta.go.jp)】
 
【事例1】前事業年度終了の日は月末であるが、月の途中で設立したため前事業年度開始の日以後6か月の期間の末日が月末でない場合

@前事業年度     :X1年  4月15日設立 ― X1年12月31日
A 6か月       :X1年10月14日
B特定期間(5か月+α):X1年  9月30日
Cその事業年度    :X2年  1月  1日   ― X2年12月31日

特定期間は、原則として、前事業年度開始の日以後6か月の期間となりますが、6か月の期間の末日が月末でない場合で前事業年度終了の日が月末である場合は、その期間の末日の前月の末日までの期間を特定期間とする特例があります(令 20 の6@一)。
事例では、設立日から6か月の期間の末日は月末ではありません(X1年 10 月 14 日)。また、前事業年度終了の日は月末となっています(X1年 12 月 31 日)。この場合、6か月の期間の末日(X1年 10 月 14日)の前月の末日であるX1年9月 30 日が特定期間の末日となります。したがって、前事業年度の法人の設立日であるX1年4月 15 日から9月 30 日までが特定期間となり、その事業年度における納税義務の判定は、その特定期間の課税売上高(又は給与等支払額)により行うこととなります。
 
【事例2】新たに設立した法人で事後に決算期変更を行ったため 前事業年度が短期事業年度(※)に該当する場合 

@前事業年度 :X1年  5月  1日設立 ― X1年12月31日【短期事業年度】
A変更    :X1年10月31後に決算期を「X1年12月31日」から「X1年12月20日」に変更
B6か月    :X1年10月31日
C変更    :X1年10月31日   ― X1年12月20日 =(2か月未満)
Dその事業年度:X1年12月20日   ― X2年12月20日

決算期変更を行った場合には、決算期変更の時期がいつであるかにより特定期間が異なる場合があります。
事例では、6 か月の期間の末日(X1 年 10 月 31 日)後に決算期変更(12 月 31 日→12 月 20 日)を行っていますので(令 20 の 6@一かっこ書)、X1 年 5 月 1 日から 10 月 31 日までが 6 か月の期間となります。この場合、6か月の期間の末日の翌日(11 月1日)から前事業年度終了の日(12 月 20 日)までの期間が2か月未満となるため、前事業年度は短期事業年度(※)となります(令 20 の5@二)。
(注)1 6 か月の期間内に決算期変更を行った場合には、X1年 5 月 1 日から 6 か月の期間の末日(10 月 31 日)の直前の終了応当日(注 2)である 10 月 20 日までが 6 か月の期間とみなされ(令 20 の 6@二)、その翌日(10 月 21日)から前事業年度終了の日(12 月 20 日)までの期間が2か月となるため、5 月 1 日から 10 月 20 日までの期間が特定期間(5 か月+20 日)となります(短期事業年度には該当しません。)。
2  終了応当日とは、前事業年度(又は前々事業年度)終了の日に応当する前事業年度(又は前々事業年度)の各月の日をいいます(事例では、前事業年度の各月の 20 日をいいます。)。

※ 短期事業年度とは、次のいずれかに該当する前事業年度をいいます(令 20 の5@)。なお、短期事業年度となる前事業年度は特定期間とはなりません(前々事業年度がある場合には、その前々事業年度が特定期間となるか どうかを判定することとなります。)。
(1) 前事業年度が7か月以下である場合
(2) 前事業年度が7か月を超え8か月未満の場合であって、前事業年度開始の日以後6か月の期間の末日の翌 日から前事業年度終了の日までの期間が2か月未満の場合
 
【事例3】決算期変更を行ったため前事業年度が短期事業年度となる場合で、前々事業年度が基準期間となる場合

@前々事業年度:X1年4月1日 ― X2年3月31日(1年)
A基準期間:  = @
B基準期間の課税売上高:1,000万円以下
C決算期変更 :X2年4月1日 ― X2年6月30日【短期事業年度】
Dその事業年度:X2年7月1日 ― X3年6月30日

前事業年度が短期事業年度となる法人で前々事業年度がある場合は、原則として、特定期間は前々事業年度 開始の日以後6か月の期間となります。ただし、前々事業年度が、その事業年度の基準期間となる場合は特定 期間とはなりません(令 20 の5A一)。なお、事例では、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であ ることから、その事業年度は免税事業者となります(法9@)。
 
【事例4】決算期変更を行ったため前事業年度が短期事業年度となる場合で、前々事業年度が6か月以下の場合

@前々事業年度:X1年 6 月 1 日設立 ― X1年9月30日(4か月)= 特定期間(6か月以下)
A前事業年度 :X1年10月 1 日   ― X2年3月31日(6か月)=【短期事業年度】
Bその事業年度:X2年 4 月 1 日   ― X3年3月31日

前事業年度が短期事業年度となる法人で前々事業年度がある場合は(注)、原則として、特定期間は前々事業年度開始の日以後6か月の期間となります。ただし、前々事業年度が6か月以下の場合は、前々事業年度開始の日から終了の日までの期間が特定期間となります(法9の2C三かっこ書)。したがって、事例では、X1年6 月1日から9月 30 日までが特定期間となり、その事業年度の納税義務の判定は、その特定期間の課税売上高 (又は給与等支払額)により行うこととなります。この場合、6か月分の金額に換算する必要はありません。 (注)前々事業年度が6か月以下の場合で前事業年度が2か月未満である場合は、その前々事業年度は特定期間 とはなりません(令 20 の5A三)。
 
【事例5】決算期変更を行ったため前事業年度が短期事業年度となる場合で、前々事業年度開始の日以後6か月の期間の末日が月末でない場合

@前々事業年度:X1年4月25日設立 ― X2年1月20日
A特定期間  :X1年4月25日   ― 10月20日(5か月+α)
B6か月    :X1年4月25日   ― 10月24日
C前々事業年度:X2年1月21日   ― X2年3月31日【短期事業年度】
Dその事業年度:X2年 4月 1日   ― X3年3月31日

前事業年度が短期事業年度となる法人で前々事業年度がある場合は(注2)、原則として、特定期間は前々事業年度開始の日以後6か月の期間となります。ただし、6か月の期間の末日が月末でない場合で前々事業年度終了の日が月末でなく、6か月の期間の末日がその前々事業年度の終了応当日(注1)でない場合は、その期間の末日の直前の終了応当日を特定期間の末日とする特例があります(令20の6A二)。
事例では、設立日から6か月の期間の末日が月末ではありません(X1年 10 月 24 日)。また、前々事業年度終了の日は1月 20 日であるため、6か月後(X1年 10 月 24 日)の直前の終了応当日であるX1年10 月 20 日が特定期間の末日となります。したがって、前々事業年度の法人の設立日であるX1年4月 25日から 10 月 20 日までが特定期間となり、その事業年度の納税義務の判定は、その特定期間の課税売上高(又は給与等支払額)により行うこととなります。
(注)1 終了応当日とは、前々事業年度(又は前事業年度)終了の日に応当する前々事業年度(又は前事業年度)の各月の日をいいます(事例では、前々事業年度の各月の 20 日をいいます。)。
2 @前々事業年度がその事業年度の基準期間に含まれる場合、A前々事業年度開始の日以後6か月の期間の末日の翌日から前事業年度終了の日までが2か月未満である場合、B前々事業年度が6か月以下の場合で前事業年度が2か月未満である場合は、その前々事業年度は特定期間とはなりません(令 20 の
5A)。
 
≪略語≫
法…平成 23 年度改正後の消費税法
令…平成 23 年度改正後の消費税法施行令
規…平成 23 年度改正後の消費税法施行規則

 

No.6421 課税売上割合が著しく変動したときの調整

[令和3年9月1日現在法令等]


<対象税目>

消費税


<概要>

課税事業者が調整対象固定資産の課税仕入れ等に係る消費税額について比例配分法により計算した場合で、その計算に用いた課税売上割合が、第3年度の課税期間における通算課税売上割合と比較して著しく増加したときまたは著しく減少したときは、第3年度の課税期間において仕入控除税額の調整を行います。

 

なお、この調整は、調整対象固定資産を第3年度の課税期間の末日に保有している場合に限って行うこととされていますので、同日までにその調整対象固定資産を除却、廃棄、滅失または譲渡等したことにより保有していない場合には行う必要はありません。

 

(注1) 「調整対象固定資産」とは、棚卸資産以外の資産で、建物およびその附属設備、構築物、機械および装置、船舶、航空機、車両および運搬具、工具、器具および備品、鉱業権その他の資産で、一の取引単位の価額(消費税および地方消費税に相当する額を除いた価額)が100万円以上のものをいいます。

 

(注2) 「比例配分法」とは、個別対応方式において課税資産の譲渡等とその他の資産に共通して要するものについて、課税売上割合を乗じて仕入控除税額を計算する方法または一括比例配分方式により仕入控除税額を計算する方法をいいます。

 

なお、課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95パーセント以上であるためその課税期間の課税仕入れ等の税額の全額が控除される場合を含みます。

 

(注3) 「第3年度の課税期間」とは、仕入れ等の課税期間(以下「仕入課税期間」といいます。)の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間をいいます。

 

(注4) 「通算課税売上割合」とは、仕入課税期間から第3年度の課税期間までの各課税期間中の総売上高に占める課税売上高の割合をいいます。

 
<通算課税売上割合が著しく増加した場合>

通算課税売上割合が仕入課税期間の課税売上割合に対して著しく増加した場合には、次の金額(加算金額)を第3年度の課税期間の仕入控除税額に加算します。

加算金額=(調整対象基準税額×通算課税売上割合)-(調整対象基準税額×その仕込課税期間の課税売上割合)?注1 著しく増加した場合とは (通算課税売上割合-仕込課税期間の課税売上割合)÷仕込課税期間の課税売上割合≧50÷100?かつ 通算課税売上割合-仕込課税期間の課税売上割合≧5÷100

<通算課税売上割合が著しく減少した場合>

通算課税売上割合が仕入課税期間の課税売上割合に対して著しく減少した場合には、次の金額(減算金額)を第3年度の課税期間の仕入控除税額から控除します。

減算金額=(調整対象基準税額×その仕込課税期間の課税売上割合)-(調整対象基準税額×通算課税売上割合)?注1 著しく減少した場合とは (仕込課税期間の課税売上割合-通算課税売上割合)÷仕込課税期間の課税売上割合≧50÷100 かつ 仕込課税期間の課税売上割合-通算課税売上割合≧5÷100

なお、控除しきれない金額があるときには、その金額を第3年度の課税期間の課税売上高に係る消費税額の合計額に加算します。


<根拠法令等>

消法2、30、33、消令5、53、消基通12-3-3




 

No.6501 納税義務の免除

[令和3年4月1日現在法令等]


<免税事業者の消費税の還付>
<Q1> 免税事業者が消費税の還付を受けることはできますか。

<A1> 仕入れに係る消費税額が控除できるのは、課税事業者に限られていますので、免税事業者は、還付を受けることはできません。
 還付を受けるためには、「消費税課税事業者選択届出書」を還付を受けようとする課税期間の初日の前日までに所轄税務署長に提出し、課税事業者となる必要があります。
(消法9、46) 


<消費税課税事業者選択届出書の効力>
Q2 消費税の還付のため「消費税課税事業者選択届出書」を提出しましたが、この届出書の効力はどのようになるのでしょうか。
A2 「消費税課税事業者選択届出書」を提出した場合には、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出しない限り効力は存続していますので、今後、基準期間における課税売上高が1,000万円以下となった課税期間についても免税事業者とはなりません。
(消法9、消基通1−4−11)

消費税法

(小規模事業者に係る納税義務の免除)
第9条
 事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第5条第1項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2 前項に規定する基準期間における課税売上高とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。
一 個人事業者及び基準期間が一年である法人 基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額(第28条第1項に規定する対価の額をいう。以下この項、次条第2項、第11条第4項及び第12条の3第1項において同じ。)の合計額から、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額の合計額(以下この項及び第11条第4項において「売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額」という。)を控除した残額
イ 基準期間中に行つた第38条第1項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額
ロ 基準期間中に行つた第38条第1項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に78分の100を乗じて算出した金額
二 基準期間が一年でない法人 基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額を当該法人の当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額
3 前項第2号の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
4 第1項本文の規定により消費税を納める義務が免除されることとなる事業者が、その基準期間における課税売上高(同項に規定する基準期間における課税売上高をいう。第11条第4項及び第12条第3項を除き、以下この章において同じ。)が千万円以下である課税期間につき、第1項本文の規定の適用を受けない旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、当該提出をした事業者が当該提出をした日の属する課税期間の翌課税期間(当該提出をした日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が千万円を超える課税期間を除く。)中に国内において行う課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、同項本文の規定は、適用しない。
5 前項の規定による届出書を提出した事業者は、同項の規定の適用を受けることをやめようとするとき、又は事業を廃止したときは、その旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。
6 前項の場合において、第4項の規定による届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、同項に規定する翌課税期間の初日から二年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、同項の規定の適用を受けることをやめようとする旨を記載した届出書を提出することができない。
7 第5項の場合において、第4項の規定による届出書を提出した事業者は、同項に規定する翌課税期間の初日から同日以後二年を経過する日までの間に開始した各課税期間(第37条第1項の規定の適用を受ける課税期間を除く。)中に国内における調整対象固定資産の課税仕入れ又は調整対象固定資産に該当する課税貨物(他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。第9項、第12条の2第3項及び第12条の4において同じ。)の保税地域からの引取り(以下この項、第12条の2第2項及び第12条の3第3項において「調整対象固定資産の仕入れ等」という。)を行つた場合(第4項に規定する政令で定める課税期間において当該届出書の提出前に当該調整対象固定資産の仕入れ等を行つた場合を含む。)には、前項の規定にかかわらず、事業を廃止した場合を除き、当該調整対象固定資産の仕入れ等の日(当該調整対象固定資産の仕入れ等に係る第30条第1項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日をいう。以下この項及び第12条の2第2項において同じ。)の属する課税期間の初日から三年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、第4項の規定の適用を受けることをやめようとする旨を記載した届出書を提出することができない。この場合において、当該調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から当該調整対象固定資産の仕入れ等の日までの間に同項の規定の適用を受けることをやめようとする旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しているときは、次項の規定の適用については、その届出書の提出は、なかつたものとみなす。
8 第5項の規定による届出書の提出があつたときは、その提出があつた日の属する課税期間の末日の翌日以後は、第4項の規定による届出は、その効力を失う。
9 やむを得ない事情があるため第4項又は第5項の規定による届出書を第4項の規定の適用を受けようとし、又は受けることをやめようとする課税期間の初日の前日までに提出できなかつた場合における同項又は前項の規定の適用の特例及び第7項に規定する調整対象固定資産の仕入れ等が特例申告書の提出に係る課税貨物の保税地域からの引取りである場合その他の場合における同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)
第9条の2
 個人事業者のその年又は法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が千万円以下である場合において、当該個人事業者又は法人(前条第4項の規定による届出書の提出により消費税を納める義務が免除されないものを除く。)のうち、当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度に係る特定期間における課税売上高が千万円を超えるときは、当該個人事業者のその年又は法人のその事業年度における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、同条第1項本文の規定は、適用しない。
2 前項に規定する特定期間における課税売上高とは、当該特定期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から、第1号に掲げる金額から第2号に掲げる金額を控除した金額の合計額を控除した残額をいう。
一 特定期間中に行つた第38条第1項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額
二 特定期間中に行つた第38条第1項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に78分の100を乗じて算出した金額
3 第1項の規定を適用する場合においては、前項の規定にかかわらず、第1項の個人事業者又は法人が同項の特定期間中に支払つた所得税法第231条第1項(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)に規定する支払明細書に記載すべき同項の給与等の金額に相当するものとして財務省令で定めるものの合計額をもつて、第1項の特定期間における課税売上高とすることができる。
4 前3項に規定する特定期間とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める期間をいう。
一 個人事業者 その年の前年1月1日から6月30日までの期間
二 その事業年度の前事業年度(7月以下であるものその他の政令で定めるもの(次号において「短期事業年度」という。)を除く。)がある法人 当該前事業年度開始の日以後六月の期間
三 その事業年度の前事業年度が短期事業年度である法人 その事業年度の前々事業年度(その事業年度の基準期間に含まれるものその他の政令で定めるものを除く。)開始の日以後六月の期間(当該前々事業年度が六月以下の場合には、当該前々事業年度開始の日からその終了の日までの期間)
5 前項第2号又は第3号に規定する六月の期間の末日がその月の末日でない場合における当該期間の特例その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
 
消費税法施行令
(基準期間の課税売上高の計算における輸出取引等に係る対価の返還等の金額の取扱い)
第19条
 事業者が、基準期間において、法第7条第1項、法第8条第1項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除される課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。次条から第25条の4までにおいて同じ。)につき、返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、当該課税資産の譲渡等の対価の額(法第28条第1項に規定する対価の額をいう。以下この条、第22条、第23条及び第25条の4第1項において同じ。)の全部若しくは一部の返還又は当該課税資産の譲渡等の対価の額に係る売掛金その他の債権の額の全部若しくは一部の減額(以下この条において「輸出取引等に係る対価の返還等」という。)をした場合には、法第9条第2項第1号イに掲げる金額の計算については、当該基準期間中に行つた当該輸出取引等に係る対価の返還等の金額を含めて行うものとする。

(特定期間の課税売上高の計算における輸出取引等に係る対価の返還等の金額の取扱い)
第24条の4
 第19条の規定は、法第9条の2第2項第1号に掲げる金額の計算について準用する。この場合において、第19条中「、基準期間」とあるのは「、法第9条の2第1項に規定する特定期間」と、「この条、第22条、第23条及び第25条の4第1項」とあるのは「この条」と、「第9条第2項第1号イ」とあるのは「第9条の2第2項第1号」と、「基準期間中」とあるのは「特定期間中」と読み替えるものとする。

(短期事業年度の範囲等)
第20条の5
 法第9条の2第4項第2号に規定する前事業年度から除かれる同号に規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 その事業年度の前事業年度で七月以下であるもの
二 その事業年度の前事業年度(七月以下であるものを除く。)で法第9条の2第4項第2号に規定する六月の期間の末日(当該六月の期間の末日が次条第1項各号に掲げる場合に該当するときは当該各号に定める日)の翌日から当該前事業年度終了の日までの期間が二月未満であるもの
2 法第9条の2第4項第3号に規定する前々事業年度から除かれる同号に規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 その事業年度の前々事業年度で当該事業年度の基準期間に含まれるもの
二 その事業年度の前々事業年度(六月以下であるものを除く。)で法第9条の2第4項第3号に規定する六月の期間の末日(当該六月の期間の末日が次条第2項各号に掲げる場合に該当するときは当該各号に定める日)の翌日から当該前々事業年度の翌事業年度終了の日までの期間が二月未満であるもの
三 その事業年度の前々事業年度(六月以下であるものに限る。)でその翌事業年度が二月未満であるもの

(六月の期間の特例)
第20条の6
 法第9条の2第4項第2号に規定する六月の期間の末日が次の各号に掲げる場合に該当するときは、同項第2号に規定する前事業年度開始の日から当該各号に定める日までの期間を当該六月の期間とみなして、同項の規定を適用する。
一 法第9条の2第4項第2号に規定する六月の期間の末日がその月の末日でない場合(当該前事業年度終了の日(当該六月の期間の末日後に当該終了の日の変更があつた場合には、その変更前の終了の日とする。以下この項において同じ。)が月の末日である場合に限る。) 当該六月の期間の末日の属する月の前月の末日
二 法第9条の2第4項第2号に規定する六月の期間の末日がその日の属する月の当該前事業年度の終了応当日(当該前事業年度終了の日に応当する当該前事業年度に属する各月の日をいう。以下この号において同じ。)でない場合(当該前事業年度終了の日が月の末日である場合を除く。) 当該六月の期間の末日の直前の終了応当日
2 法第9条の2第4項第3号に規定する六月の期間(同号に規定する前々事業年度が六月以下である場合における当該六月の期間を除く。)の末日が次の各号に掲げる場合に該当するときは、同項第3号に規定する前々事業年度開始の日から当該各号に定める日までの期間を当該六月の期間とみなして、同項の規定を適用する。
一 法第9条の2第4項第3号に規定する六月の期間の末日がその月の末日でない場合(当該前々事業年度終了の日(当該六月の期間の末日後に当該終了の日の変更があつた場合には、その変更前の終了の日とする。以下この項において同じ。)が月の末日である場合に限る。) 当該六月の期間の末日の属する月の前月の末日
二 法第9条の2第4項第3号に規定する六月の期間の末日がその日の属する月の当該前々事業年度の終了応当日(当該前々事業年度終了の日に応当する当該前々事業年度に属する各月の日をいう。以下この号において同じ。)でない場合(当該前々事業年度終了の日が月の末日である場合を除く。) 当該六月の期間の末日の直前の終了応当日

 
(新設法人の納税義務の免除の特例)
第12条の2
 その事業年度の基準期間がない法人(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第22条(定義)に規定する社会福祉法人その他の専ら別表第一に掲げる資産の譲渡等を行うことを目的として設立された法人で政令で定めるものを除く。)のうち、当該事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が千万円以上である法人(以下この項及び次項において「新設法人」という。)については、当該新設法人の基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間(第9条第4項の規定による届出書の提出により、又は第9条の2第1項、第11条第3項若しくは第4項若しくは前条第1項若しくは第2項の規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間を除く。)における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない。
2 前項の新設法人が、その基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間(第37条第1項の規定の適用を受ける課税期間を除く。)中に調整対象固定資産の仕入れ等を行つた場合には、当該新設法人の当該調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間から当該課税期間の初日以後三年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間(その基準期間における課税売上高が千万円を超える課税期間及び第9条第4項の規定による届出書の提出により、又は第9条の2第1項、第11条第3項若しくは第4項、前条第1項から第3項まで若しくは前項の規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間を除く。)における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第9条第1項本文の規定は、適用しない。
3 前項に規定する調整対象固定資産の仕入れ等が特例申告書の提出に係る課税貨物の保税地域からの引取りである場合その他の場合における同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。


 
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