消費税経理通達関係Q&A

令和3年改正消費税経理通達関係Q&A(令和3年2月)


 令和5年10月1日から消費税の仕入税額控除制度において適格請求書等保存方式(いわゆる「インボイス制度」)が導入されます。
 これに伴い、国税庁では令和3年2月に平成元年3月1日付直法2−1「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」(法令解釈通達)(以下「消費税経理通達」といいます。)の改正を行いました。
 このQ&Aは、具体的な事例に関して、改正後の消費税経理通達を基に、法人税の所得金額の計算における消費税及び地方消費税の取扱いをまとめたものです。

このQ&Aは、令和3年2月9日現在公布されている法令及び同日現在の通達に基づいて作成しています。
 
 
T 令和3年2月の消費税経理通達の改正の趣旨
問1 令和3年2月の消費税経理通達の改正の趣旨
U 免税事業者から課税仕入れを行った場合の法人税の取扱い
問2 インボイス制度導入後(令和11年10月〜      )に免税事業者から課税仕入れを行った場合 
問3 経 過 措 置 期 間 中 (令和5年10月〜令和 8年9月)に免税事業者から課税仕入れを行った場合 
問4 経 過 措 置 期 間 中 (令和8年10月〜令和11年9月)に免税事業者から課税仕入れを行った場合 
V 会計上、インボイス制度導入前の金額で仮払消費税等を計上した場合の法人税の取扱い
問5 インボイス制度導入後(令和11年10月〜      )に免税事業者から減価償却資産を取得した場合
問6 インボイス制度導入後(令和11年10月〜      )に免税事業者から棚卸資産を取得した場合
問7 インボイス制度導入後(令和11年10月〜      )に免税事業者に 経費等を支出した場合
問8 経 過 措 置 期 間 中 (令和5年10月〜令和 8年9月)に免税事業者から減価償却資産を取得した場合
問9 経 過 措 置 期 間 中 (令和8年10月〜令和11年9月)に免税事業者から減価償却資産を取得した場合
 




 


T 令和3年2月の消費税経理通達の改正の趣旨
 

問1

  令和3年2月の消費税経理通達の改正の趣旨を教えてください。
 

【回答】


 消費税の納付税額は、税の累積を排除するため、課税売上げに係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除して算出することとされており、この控除することを「仕入税額控除」といいます。

 令和5年 10 月1日からは、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として「適格請求書等保存方式」(以下「インボイス制度」といいます。)が導入され、インボイス制度の下では、仕入税額控除の要件として、原則、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者である「適格請求書発行事業者」から交付を受けた「適格請求書」等の保存が必要になります(新消法 30FGH)。

 この仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れに係る消費税額は、インボイス制度導入前においては、課税仕入れに係る支払対価の額に 110 分の 7.8(軽減税率の対象となる場合は 108 分の 6.24)を乗じて算出した金額とされています(旧消法 30@、28 年改正法附則 34A)。

 一方、インボイス制度導入後においては、仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れに係る消費税額は、適格請求書又は適格簡易請求書の記載事項に基づき計算した金額その他の政令で定めるところにより計算した金額とされ、適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除の適用を受けることができなくなります(新消法 30@)。

 ところで、消費税の納税義務者である法人は、法人税の所得金額の計算に当たり、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」といいます。)の経理処理については、
・ 消費税等の額とこれに係る取引の対価の額とを区分して経理する「税抜経理方式」と、
・ 消費税等の額とこれに係る取引の対価の額とを区分しないで経理する「税込経理方式」
とのうちいずれかを選択できることとされています(旧経理通達3)。

 このうち、税抜経理方式によった場合、インボイス制度導入前は、課税仕入れに係る仮払消費税等の額として計上する金額は、地方消費税も加味したところで、課税仕入れに係る支払対価の額(消費税等の額がある場合にはその額を含みます。以下同じです。)に 110 分の 10(軽減税率の対象となる場合は 108 分の8)を乗じて算出した金額に相当する額とされていました。

 例えば、法人が国内において資産(軽減税率の対象ではないものとします。)を取得し、
対価として 11,000 円を支払った場合の仕訳は、次のようになります。
 
(借方) 資         産 10,000 円 (貸方) 現     金 11,000 円
             仮 払 消 費 税 等  1,000 円

 しかしながら、インボイス制度導入後は、課税仕入れであっても適格請求書又は適格簡易請求書の保存がないものは原則として仕入税額控除の適用を受けることができないため、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れ(古物営業を営む者が棚卸資産を取得する取引等を除きます。以下同じです。)について仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れに係る消費税額はないこととなります。この点、法人税では、仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れ等の税額及び当該課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の額に相当する金額の合計額が仮払消費税等の額とされていますので、税務上は仮払消費税等の額がないこととなります(法令 139 の4DE、法規 28A)。

 このため、令和3年2月、消費税経理通達を改正し、仮に法人が適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについてインボイス制度導入前のように仮払消費税等の額として経理した金額があっても、税務上は当該仮払消費税等の額として経理した金額を取引の対価の額に算入して法人税の所得金額の計算を行うことを明らかにしました。具体的な税務調整の例については、以下の問を参照してください。

※ 消費税経理通達と同日に改正された平成元年3月 29 日付直所3−8ほか1課共同「消費税法等の施行に伴う所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)(以下「所得税に係る消費税経理通達」といいます。)についても、同様の改正の趣旨となります。
 
〔参考〕適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに係る経過措置
 インボイス制度導入後6年間は、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについても、仕入税額相当額の一定割合を課税仕入れに係る消費税額とみなす経過措置が設けられています。
 具体的には、次の課税仕入れの区分に応じてそれぞれ次の算式により算出した金額が仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れに係る消費税額に該当します(28 年改正法附則 52、53)。

・令和5年 10 月1日から令和8年9月 30 日までの間に行われた課税仕入れ
   当該課税仕入れに係る支払対価の額   × 
7.8*
110
 × 
80
100
 =   仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れに係る消費税額 

・令和8年 10 月1日から令和 11 年9月 30 日までの間に行われた課税仕入れ
   当該課税仕入れに係る支払対価の額   × 
7.8*
110
 × 
50
100
 =   仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れに係る消費税額 

※ 軽減税率が適用される場合は 108 分の 6.24。
 
適 用 期 間 適格請求書発行事業者以外
の者からの課税仕入れ
請 求 書 等 保 存 方 式
令和元年10月1日
令和5年9月30日
全額控除可能 (軽減税率制度実施)
区分記載請求書等保存方式
令和5年10月1日
令和8年9月30日
80%控除可能* 適格請求書等保存方式導入



 
令和8年10月1日
令和11年9月30日
50%控除可能*
令和11年10月1日
以後
控除不可

※ この経過措置による仕入税額控除の適用に当たっては、適格請求書発行事業者以外の者から受領する
区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等及びこの経過措置の適用を受ける旨(80%控除・
50%控除の特例を受ける課税仕入れである旨)を記載した帳簿の保存が必要です。
(筆者一部改)
▲Q&A目次



U 免税事業者から課税仕入れを行った場合の法人税の取扱い

インボイス制度導入後(令和11年10月〜)に免税事業者から課税仕入れを行った場合

問2

 当社(飲食業)は、インボイス制度導入後である令和 11 年 10 月1日に免税事業者から国内にある店舗用の建物を取得し、その対価として 1,100 万円を支払いました。当社は税抜経理方式で経理していますが、この場合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなりますか。
 

【回答】

 1,100 万円を建物の取得価額として法人税の所得金額の計算を行うことになります。

 

【解説】

 インボイス制度導入後(令和 11 年 10 月1日以降)は、課税仕入れであっても適格請求書又は適格簡易請求書の保存がないものは仕入税額控除の適用を受けることができないため、適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れに係る消費税額はないこととなります(新消法 30@)。

 このため、法人が税抜経理方式で経理している場合において、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについて仮払消費税等の額として取引の対価の額と区分して経理する金額はなく、支払対価の額を建物の取得価額として法人税の所得金額の計算を行うことになります(新経理通達 14 の2)。
※ 所得税に係る消費税経理通達についても同様の取扱いとなります
(所得税に係る消費税経理通達 11 の2)。

経過措置期間中(令和5年年10月〜令和 8年9月)に免税事業者から課税仕入れを行った場合

問3

 当社(飲食業)は、インボイス制度導入後である令和5年 10 月1日に免税事業者から国内にある店舗用の建物を取得し、その対価として 1,100 万円を支払いました。当社は税抜経理方式で経理していますが、この場合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなりますか。
 

【回答】


 支払対価の額のうち、80 万円を仮払消費税等の額として取引の対価から区分し、1,020 万円を建物の取得価額として法人税の所得金額の計算を行うことになります。
 

【解説】


 インボイス制度導入後、令和5年 10 月1日から令和8年9月 30 日までの間に行われた適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについては、当該課税仕入れに係る支払対価の額に110 分の 7.8(軽減税率の対象となる場合は 108 分の 6.24)を乗じて算出した金額に 100 分の 80 を乗じて算出した金額を課税仕入れに係る消費税額とみなすこととされています(28 年改正法附則 52@)。すなわち、インボイス制度導入前の課税仕入れに係る消費税額の 80%相当額について仕入税額控除の適用を受けることができます。

 このため、法人が税抜経理方式で経理している場合において、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについて、支払対価の額のうちインボイス制度導入前の仮払消費税等の額の 80%相当額を仮払消費税等の額とし、残額を建物の取得価額として法人税の所得金額の計算を行うことになります(新経理通達3の2、経過的取扱い⑵)。

※ 所得税に係る消費税経理通達についても同様の取扱いとなります(所得税に係る消費税経理通達3の2、令和3年2月9日付課個2−3「『消費税法等の施行に伴う所得税の取扱いについて』の一部改正について」(法令解釈通達)経過的取扱い⑵)。

経過措置期間中(令和8年10月〜令和11年9月)に免税事業者から課税仕入れを行った場合

問4

 当社(飲食業)は、インボイス制度導入後である令和8年 10 月1日に免税事業者から国内にある店舗用の建物を取得し、その対価として 1,100 万円を支払いました。当社は税抜経理方式で経理していますが、この場合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなりますか。
 

【回答】


 支払対価の額のうち、50 万円を仮払消費税等の額として取引の対価から区分し、1,050 万円を建物の取得価額として法人税の所得金額の計算を行うことになります。
 

【解説】


 インボイス制度導入後、令和8年 10 月1日から令和 11 年9月 30 日までの間に行われた適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについては、当該課税仕入れに係る支払対価の額に 10 分の 7.8(軽減税率の対象となる場合は 108 分の 6.24)を乗じて算出した金額に 100 分の 50 を乗じて算出した金額を課税仕入れに係る消費税額とみなすこととされています(28 年改正法附則 53@)。すなわち、インボイス制度導入前の課税仕入れに係る消費税額の 50%相当額について仕入税額控除の適用を受けることができます。

 このため、法人が税抜経理方式で経理している場合において、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについて、支払対価の額のうちインボイス制度導入前の仮払消費税等の額の 50%相当額を仮払消費税等の額とし、残額を建物の取得価額として法人税の所得金額の計算を行うことになります(新経理通達3の2、経過的取扱い⑵)。

※ 所得税に係る消費税経理通達についても同様の取扱いとなります(所得税に係る消費税経理通達3の2、令和3年2月9日付課個2−3「『消費税法等の施行に伴う所得税の取扱いについて』の一部改正について」(法令解釈通達)経過的取扱い⑵)。
 



V 会計上、インボイス制度導入前の金額で仮払消費税等を計上した場合の法人税の取扱い

 インボイス制度導入後は、原則として※、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについては、税務上、仮払消費税等の額はないこととなります。

 しかしながら、法人の会計においては、消費税等の影響を損益計算から排除する目的や、そもそも会計ソフトがインボイス制度に対応していないなどの理由で、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについてインボイス制度導入前と同様に、支払対価の額に 110 分の 10(軽減税率の対象となる場合は 108 分の8)を乗じて算出した金額を仮払消費税等の額として経理することも考えられます。こうしたケースにおける具体的な税務調整の例については、以下の問を参照してください。

インボイス制度導入後6年間は、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについても、仕入税額相当額の一定割合を課税仕入れに係る消費税額とみなす経過措置が設けられています(問1の「〔参考〕適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに係る経過措置」をご覧ください。)。

インボイス制度導入後(令和11年10月〜)に免税事業者から減価償却資産を取得した場合

問5

 当社(9月決算法人、飲食業)は、インボイス制度導入後である令和 11 年 10 月1日に免税事業者から国内にある店舗用の建物を取得し、
その対価として 1,100 万円を支払いました。当社は税抜経理方式で経理しており、本件取引について支払対価の額の 110 分の 10相当額を仮払消費税等の額として経理し、決算時に雑損失として計上しましたが、この場合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなりますか。
 なお、この建物は取得後直ちに事業の用に供しており、耐用年数 20 年で定額法により減価償却費を算出しています。

〔取得時〕
(借方) 建       物 10,000,000 円 (貸方) 現      金 11,000,000 円
     仮 払 消 費 税 等   1,000,000 円
〔決算時〕
(借方) 減 価 償 却 費        500,000 円 (貸方) 建                 物      500,000 円
             雑     損     失     1,000,000 円              仮 払 消 費 税 等   1,000,000 円
 

【回答】


 以下のような申告調整を行います。

・別表四 所得の金額の計算に関する明細書
区    分 総   額 処     分
留   保 社 外 流 出

減価償却の償却超過額 950,000 円 950,000 円

・別表五(一) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
T 利益積立金額の計算に関する明細書
区 分 期 首 現 在
利益積立金額
当期の増減 差引翌期首現在
利益積立金額
建物減価償却超過額                  950,000 円 950,000 円
 

【解説】


 インボイス制度導入後(令和 11 年 10 月1日以降)は、税務上は適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについて仮払消費税等の額はないこととなるため、仮に法人の会計において仮払消費税等の額として経理した金額がある場合には、その金額を取引の対価の額に算入して法人税の所得金額の計算を行うことになります(新経理通達 14 の2)。

 本事例においては、法人の会計上、100 万円を仮払消費税等の額として建物の取得価額と区分して経理していますが、税務上は仮払消費税等の額はないことになりますので、この 100 万円は建物の取得価額に算入することになります。

 ところで、本事例においては、建物の取得時に仮払消費税等の額として経理した金額を、決算時に雑損失として計上しています。この雑損失の額は、本来は建物の取得価額に算入すべきものですが、「償却費として損金経理をした金額」として取り扱い、結果として償却限度額を超える部分の 95 万円を減価償却の償却超過額として当該事業年度の所得金額に加算することになります(新経理通達 14 の2(注)1)。

※ 建物減価償却超過額の計算
(10,000,000 円+1,000,000 円)×0.050=550,000 円(償却限度額)
(500,000 円+1,000,000 円)−550,000 円=950,000 円

インボイス制度導入後(令和11年10月〜)に免税事業者から棚卸資産を取得した場合

問6

 当社(9月決算法人、小売業)は、インボイス制度導入後である令和 12 年9月1日に免税事業者から国内にある商品(家具)20 個を仕入れ、その対価として
220 万円(11 万円×20 個)を支払いました。当社は税抜経理方式で経理しており、本件取引について支払対価の額の 110 分の 10 相当額を仮払消費税等の額として経理し、決算時に雑損失として計上しました。また、この商品のうち 10 個は期末時点で在庫として残っています。この場合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなりますか。

〔仕入時〕
(借方)仕                 入 2,000,000 円 (貸方) 現                 金 2,200,000 円
            仮 払 消 費 税 等    200,000 円
〔決算時〕
(借方) 商                品 1,000,000 円 (貸方) 仕                 入 1,000,000 円
             雑      損       失    200,000 円              仮 払 消 費 税 等    200,000 円
 

【回答】


以下のような申告調整を行います。

・別表四 所得の金額の計算に関する明細書
区           分 総           額 処           分
留           保 社  外  流  出

雑損失の過大計上 100,000 円 100,000 円

・別表五(一) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
T 利益積立金額の計算に関する明細書
区 分 期 首 現 在
利益積立金額
当期の増減 差引翌期首現在
利益積立金額
商    品                  100,000 円 100,000 円
 

【解説】


 インボイス制度導入後(令和 11 年 10 月1日以降)は、税務上は適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについて仮払消費税等の額はないこととなるため、仮に法人の会計において仮払消費税等の額として経理した金額がある場合には、その金額を取引の対価の額に算入して法人税の所得金額の計算を行うことになります(新経理通達 14 の2)。

 本事例においては、法人の会計上、20 万円を仮払消費税等の額として商品の取得価額と区分して経理していますが、税務上は仮払消費税等の額はないことになりますので、この 20 万円は商品の取得価額に算入することになります。

 ところで、本事例においては、商品の取得(仕入)時に仮払消費税等の額として経理した金額を、決算時に雑損失として計上しています。この雑損失の額は、本来は商品の取得価額に算入すべきものですが、期中に販売した商品に係る部分の金額は売上原価として当該事業年度の損金の額に算入されますので、期末に在庫として残った商品に係る部分の金額を当該事業年度の所得金額に加算することになります。

インボイス制度導入後(令和11年10月〜)に免税事業者に 経費等を支出した場合

問7

 当社(9月決算法人、小売業)は、全社員の慰安のため、インボイス制度導入後である令和 12 年9月1日に免税事業者が営む国内の店舗において飲食を行い、その対価として11 万円を支払いました。当社は税抜経理方式で経理しており、本件取引について支払対価の額の 110 分の 10 相当額を仮払消費税等の額として経理し、決算時に雑損失として計上しました。この場合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなりますか。

〔支出時〕
(借方) 福  利  厚  生  費 100,000 円 (貸方) 現                 金 110,000 円
             仮 払 消 費 税 等   10,000 円
〔決算時〕
(借方) 雑       損       失   10,000 円 (貸方) 仮 払 消 費 税 等   10,000 円
 

【回答】


 申告調整は不要です。
 

【解説】


 インボイス制度導入後(令和 11 年 10 月1日以降)は、税務上適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについて仮払消費税等の額はないこととなるため、仮に法人の会計において仮払消費税等の額として経理した金額がある場合には、その金額を取引の対価の額に算入して法人税の所得金額の計算を行うことになります(新経理通達 14 の2)。

 本事例においては、法人の会計上、1万円を仮払消費税等の額として福利厚生費と区分して経理していますが、税務上は仮払消費税等の額はないことになりますので、この1万円は福利
厚生費の額に算入することになります。

 ところで、本事例においては、福利厚生費の支出時に仮払消費税等の額として経理した金額を、決算時に雑損失として計上しています。この雑損失の額は、本来は福利厚生費の額に含め
るべきものですが、いずれも当該事業年度の損金の額に算入されることについては変わりありませんので、結果的に申告調整は不要となります。
 
〔参考〕交際費等の損金不算入制度の適用
 新経理通達は、令和5年 10 月1日以後に国内において法人が行う資産の譲渡等又は課税仕入れ等に係る消費税について適用することとされておりますが、交際費等の損金不算入制度は法人が令和4年3月 31 日までの間に開始する各事業年度において支出する交際費等の額がある場合に適用されます(経過的取扱い⑴、措法 61 の4)。このため、新経理通達の適用時における交際費等の損金不算入制度の在り方は不明ですが、仮に現行制度と同様の場合には、本事例の飲食のために要した費用の支出がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものである場合には、交際費等の額の計算や、交際費等の範囲から除かれる飲食費の金額基準である5千円以下の判定は、本事例における仮払消費税等の額として経理した金額を飲食のために要した費用の額に算入した後の金額により行うことになります(消費税経理通達 12)。

経過措置期間中(令和5年10月〜令和 8年9月)に免税事業者から減価償却資産を取得した場合

問8

 当社(9月決算法人、金融業)は、インボイス制度導入後である令和5年 10 月1日に免税事業者から国内にある店舗用の建物を取得し、その対価として
1,320 万円を支払いました。当社は税抜経理方式で経理しており、本件取引について支払対価の額の 110 分の 10 相当額を仮払消費税等の額として経理しました。また、当社の消費税の課税期間は事業年度と一致しており、当該課税期間の課税売上割合は 50%で、仕入税額控除の計算は一括比例配分方式を適用しているところ、当該事業年度において仮払消費税等の額として経理した金額は本件取引に係る 120 万円のみで、このほか仮受消費税等の額として経理した金額が120 万円ありました。決算時において、納付すべき消費税等の額が 72 万円算出されたため、仮受消費税等の額から仮払消費税等の額を控除した金額との間に差額が 72 万円生じることとなり、その差額を雑損失として計上しました。この場合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなりますか。

 なお、この建物は取得後直ちに事業の用に供しており、耐用年数 20 年で定額法により減価償却費を算出しています。

〔取得時〕
(借方) 建                 物 12,000,000 円 (貸方) 現                 金 13,200,000 円
             仮 払 消 費 税 等   1,200,000 円
〔決算時〕
(借方) 減  価  償  却  費      600,000 円 (貸方) 建                 物     600,000 円
             仮 受 消 費 税 等   1,200,000 円              仮 払 消 費 税 等  1,200,000 円
             雑       損       失      720,000 円              未 払 消 費 税 等    720,000 円
 

【回答】


以下のような申告調整を行います。

・別表四 所得の金額の計算に関する明細書
区           分 総           額 処           分
留           保 社  外  流  出

減価償却の償却超過額 282,000 円 282,000 円
控除対象外消費税額等
の損金算入限度超過額
432,000 円 432,000 円

・別表五(一) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
T 利益積立金額の計算に関する明細書
区 分 期 首 現 在
利益積立金額
当期の増減 差引翌期首現在
利益積立金額
建物減価償却超過額                  282,000 円 282,000 円
繰延消費税額等 432,000 円 432,000 円
 

【解説】


 インボイス制度導入後、令和5年 10 月1日から令和8年9月 30 日までの間に行われた適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについては、当該課税仕入れに係る支払対価の額に110 分の 7.8(軽減税率の対象となる場合は 108 分の 6.24)を乗じて算出した金額に 100 分の 80 を乗じて算出した金額が仕入税額控除の対象となる課税仕入れに係る消費税額となります(28 年改正法附則 52@)。すなわち、インボイス制度導入前の課税仕入れに係る消費税額の 80%相当額について仕入税額控除の適用を受けることができます。

 このため、法人が税抜経理方式で経理をしている場合において、免税事業者からの課税仕入れについては、支払対価の額のうちインボイス制度導入前の仮払消費税等の額の 80%相当額を仮払消費税等の額として経理し、残額を資産の取得価額として法人税の所得金額の計算を行うことになります(新経理通達3の2、経過的取扱い⑵)。

 本事例においては、法人の会計上、120 万円を仮払消費税等の額として建物の取得価額と区分して経理していますが、税務上は仮払消費税等の額は 96 万円となりますので、120 万円のうち96 万円を超える部分の金額である 24 万円は、建物の取得価額に算入することになります。

 ところで、本事例においては、決算時に仮受消費税等の額の合計額から仮払消費税等の額の合計額(建物の取得時に仮払消費税等の額として経理した金額)を控除した金額と納付すべき消費税等の額(未払消費税等の額)との清算の結果生ずる差額を雑損失として計上しています。

 この雑損失の金額のうち 24 万円は、前述のとおり本来は建物の取得価額に算入すべきものですが、「償却費として損金経理をした金額」として取り扱い、結果として償却限度額を超える部分の 22 万8千円を減価償却の償却超過額として所得金額に加算することになります(新経理通達3の2⑴(注))。

 また、本事例では、課税売上割合が 50%ですので控除対象外消費税額等が生ずることになります。この控除対象外消費税額等は、仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れに係る消費税等の額のうち新消法第 30 条第1項の規定による控除をすることができない金額(地方消費税相当額を含みます。)となりますので、地方消費税も加味したところで計算すると、仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れに係る消費税等の額(支払対価の額1,320 万円×10/110×80%=96 万円)のうち、控除をすることができない金額は 96 万円×(1−課税売上割合 50%)=48 万円となります(法令 139 の4DE、30 年改正法令附則14B)。本事例の控除対象外消費税額等は、法令第 139 条の4第3項及び第4項の規定により、損金経理を要件として5年以上の期間で損金の額に算入します。本事例ではこの控除対象外消費税額等について決算時に雑損失として損金経理をしており、当該事業年度の損金算入限度額は資産に係る控除対象外消費税額等を 60 で除して 12(当該事業年度の月数)を乗じた金額の2分の1に相当する金額となりますので、結果として、43 万2千円を繰延消費税額等として当該事業年度後の各事業年度において、損金の額に算入することになります(法令 139 の4B)。

※ 建物減価償却超過額の計算
 (12,000,000 円+240,000 円)×0.050=612,000 円(償却限度額)
 (600,000 円+240,000 円)−612,000 円=228,000 円

※ 控除対象外消費税額等の損金算入限度超過額の計算
 480,000 円÷60×12×1/2=48,000 円(損金算入限度額)
 480,000 円−48,000 円=432,000 円


経過措置期間中(令和8年10月〜令和11年9月)に免税事業者から減価償却資産を取得した場合

問9

 当社(9月決算法人、金融業)は、インボイス制度導入後である令和8年10月1日に免税事業者から国内にある店舗用の建物を取得し、その対価として1,320万円を支払いました。当社は税抜経理方式で経理しており、本件取引について支払対価の額の110分の10相当額を仮払消費税等の額として経理しました。また、当社の消費税の課税期間は事業年度と一致しており、当課税期間の課税売上割合は50%で、仕入税額控除の計算は一括比例配分方式を適用しているところ、当該事業年度において仮払消費税等の額として経理した金額は本件取引に係る120万円のみで、このほか仮受消費税等の額として経理した金額が120万円ありました。決算時において、納付すべき消費税等の額が90万円算出されたため、仮受消費税等の額から仮払消費税等の額を控除した金額との間に差額が90万円生じることとなり、その差額を雑損失として計上しました。この場合の課税仕入れに係る法人税の取扱いはどうなりますか。

 なお、この建物は取得後直ちに事業の用に供しており、耐用年数20年で定額法により減価償却費を算出しています。
 

〔取得時〕
(借方) 建物 12,000,000円 (貸方) 現金 13,200,000円
仮払消費税等   1,200,000円
〔決算時〕
(借方) 減価償却費     600,000円 (貸方) 建物     600,000円
仮受消費税等   1,200,000円 仮払消費税等  1,200,000円
雑損失     900,000円 未払消費税等     900,000円
 

【回答】

以下のような申告調整を行います。

・別表四 所得の金額の計算に関する明細書

区    分 総  額 処   分
留  保 社外流出
加算  減価償却の償却超過額 570,000円 570,000円
 控除対象外消費税額等
 の損金算入限度超過額
270,000円 270,000円


・別表五(一) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書 

T 利益積立金額の計算に関する明細書
区   分 期首現在
利益積立金額
当期の増減 差引翌期首現在
利益積立金額
 建物減価償却超過額 570,000円 570,000円
 繰延消費税額等 270,000円 270,000円
 

【解説】

 インボイス制度導入後、令和8年10月1日から令和11年9月30日までの間に行われた適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについては、当該課税仕入れに係る支払対価の額に110分の7.8(軽減税率の対象となる場合は108分の6.24)を乗じて算出した金額に100分の50を乗じて算出した金額が仕入税額控除の対象となる課税仕入れに係る消費税額となります(28年改正法附則53@)。すなわち、インボイス制度導入前の課税仕入れに係る消費税額の50%相当額について仕入税額控除の適用を受けることができます。

 このため、法人が税抜経理方式で経理をしている場合において、免税事業者からの課税仕入れについては支払対価の額のうちインボイス制度導入前の仮払消費税等の額の50%相当額を仮払消費税等の額として経理し、残額を資産の取得価額として法人税の所得金額の計算を行うことになります(新経理通達3の2、経過的取扱い(2))。

 本事例においては、法人の会計上、120万円を仮払消費税等の額として建物の取得価額と区分して経理していますが、税務上は仮払消費税等の額は60万円となりますので、120万円のうち60万円を超える部分の金額である60万円は、建物の取得価額に算入することになります。

 ところで、本事例においては、決算時に仮受消費税等の額の合計額から仮払消費税等の額の合計額(建物の取得時に仮払消費税等の額として経理した金額)を控除した金額と納付すべき消費税等の額(未払消費税等の額)との清算の結果生ずる差額を雑損失として計上しています。この雑損失の金額のうち60万円は、前述のとおり本来は建物の取得価額に算入すべきものですが、「償却費として損金経理をした金額」として取り扱い、結果として償却限度額を超える部分の57万円を減価償却の償却超過額として所得金額に加算することになります(新経理通達3の2(1)(注))。

 また、本事例では、課税売上割合が50%ですので控除対象外消費税額等が生ずることになります。この控除対象外消費税額等は、仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れに係る消費税等の額のうち新消法第30条第1項の規定による控除をすることができない金額(地方消費税相当額を含みます。)となりますので、地方消費税も加味したところで計算すると、仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れに係る消費税等の額(支払対価の額1,320万円×10/110×50%=60万円)のうち、控除をすることができない金額は60万円×(1−課税売上割合50%)=30万円となります(法令139の4DE、30年改正法令附則14C)。本事例の控除対象外消費税額等は、法令第139条の4第3項及び第4項の規定により、損金経理を要件として5年以上の期間で損金の額に算入します。本事例ではこの控除対象外消費税額等について決算時に雑損失として損金経理をしており、当該事業年度の損金算入限度額は資産に係る控除対象外消費税額等を60で除して12(当該事業年度の月数)を乗じた金額の2分の1に相当する金額となりますので、結果として、27万円を繰延消費税額等として当該事業年度後の各事業年度において、損金の額に算入することになります(法令139の4B)。


※ 建物減価償却超過額の計算

  •  (12,000,000円+600,000円)×0.050=630,000円(償却限度額)
  •  (600,000円+600,000円)−630,000円=570,000円


※ 控除対象外消費税額等の損金算入限度超過額の計算

  •    300,000円÷60×12×1/2=30,000円(損金算入限度額)
  •    300,000円−30,000円=270,000円
 

凡例

凡例 文中、文末引用の法令等の略称は以下のとおりです。

28年改正法………所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)
30年改正令………法人税法施行令等の一部を改正する政令(平成30年政令第132号)
法法………………法人税法(昭和40年法律第34号)
法令………………法人税法施行令(昭和40年政令第97号)
法規………………法人税法施行規則(昭和40年大蔵省令第12号)
新消法……………28年改正法による改正後の消費税法(昭和63年法律第108号)
旧消法……………28年改正法による改正前の消費税法(昭和63年法律第108号)
措法………………租税特別措置法(昭和32年法律第26号)
別表………………法人税確定申告書別表
消費税経理通達…平成元年3月1日付直法2−1「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」(法令解釈通達)
新経理通達………令和3年2月9日付課法2−6「『消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて』の一部改正について」(法令解釈通達)による改正後の消費税経理通達
旧経理通達………令和3年2月9日付課法2−6「『消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて』の一部改正について」(法令解釈通達)による改正前の消費税経理通達
経過的取扱い……令和3年2月9日付課法2−6「『消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて』の一部改正について」(法令解釈通達)経過的取扱い

 
令和3年改正消費税経理通達関係Q&A(令和3年2月)|国税庁 (nta.go.jp)
 

消費税法等の施行に伴う所得税の取扱いについて

直所3-8(例規)
直資3-6

平成元年3月29日
(改正 令和3.2.9課個2-3)
(改正 令和1.6.28課個2-28)
(改正 平成26.3.13課個2-3)
(改正 平成9.2.26課所4-3)
(改正 平成1.1.21課所4-1)

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿
国税庁長官

消費税法等の施行に伴う所得税の取扱いについて

標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

(趣旨)
消費税法(昭和63年法律第108号)、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律(平成6年法律第109号)、地方税法等の一部を改正する法律(平成6年法律第111号)、地方税法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成9年政令第17号)、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成24年法律第68号)、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律(平成24年法律第69号)、所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9号)、地方税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第2号)、所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)及び地方税法等の一部を改正する等の法律(平成28年法律第13号)の施行に伴い、所得税の課税所得金額の計算における消費税及び地方消費税の取扱いを明らかにするものである。
 

(用語の意義)
1 この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

(1) 令 所得税法施行令(昭和40年政令第96号)をいう。
(2) 消法 消費税法(昭和63年法律第108号)をいう。
(3) 消法令 消費税法施行令(昭和63年政令第360号)をいう。
(4) 措置法 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)をいう。
(5) 消費税等 消費税及び地方消費税をいう。
(6) 個人事業者 消法第2条第1項第3号((定義))に規定する個人事業者をいう。
(7) 税抜経理方式 消費税等の額とこれに係る取引の対価の額とを区分して経理をする方式をいう。
(8) 税込経理方式 消費税等の額とこれに係る取引の対価の額とを区分しないで経理をする方式をいう。
(9) 課税期間 消法第19条第1項((課税期間))に規定する課税期間をいう。
(10) 課税仕入れ等 消法第2条第1項第12号((定義))に規定する課税仕入れ又は同項第2号に規定する保税地域からの同項第11号に規定する課税貨物の引取りをいう。
(11) 特定課税仕入れ 消法第5条第1項((納税義務者))に規定する特定課税仕入れをいう。
(12) 仮受消費税等の額 課税期間中に行った消法第2条第1項第9号に規定する課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税の額及び当該消費税の額を課税標準として課されるべき地方消費税の額に相当する金額をこれらに係る取引の対価の額と区分する経理をする場合における当該課されるべき消費税の額及び当該課されるべき地方消費税の額に相当する金額をいう。
(13) 仮払消費税等の額 課税期間中に行った課税仕入れ等に係る消法第30条第2項((仕入れに係る消費税額の控除))に規定する課税仕入れ等の税額及び当該課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の額に相当する金額をこれらに係る取引の対価の額と区分する経理をする場合における当該課税仕入れ等の税額及び当該課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の額に相当する金額をいう。
(14) 控除対象外消費税額等 令第182条の2第5項((資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入))の「控除をすることができない金額及び当該控除をすることができない金額に係る地方消費税の額に相当する金額の合計額」をいう。

(税抜経理方式と税込経理方式の選択適用)
2 個人事業者(消法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定により消費税を納める義務が免除されるものを除く。以下3の2までにおいて同じ。)が行う取引に係る消費税等の経理処理につき、当該個人事業者の行う全ての取引について税抜経理方式又は税込経理方式のいずれかの方式に統一していない場合には、その行う全ての取引についていずれかの方式を適用して所得税の課税所得金額を計算するものとする。

(注)
1    不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得(以下「事業所得等」という。)を生ずべき業務のうち2以上の所得を生ずべき業務を行う場合には、当該所得の種類を異にする業務ごとに上記の取扱いによることができるものとする。
2    譲渡所得の基因となる資産の譲渡で消費税が課されるものに係る経理処理については、当該資産をその用に供していた事業所得等を生ずべき業務と同一の方式によるものとする。
3    消費税と地方消費税は同一の方式によるものとする。

(固定資産等及び経費等の経理方式の選択適用)
2の2 個人事業者が売上げ等の収入に係る取引について税抜経理方式で経理をしている場合には、2((税抜経理方式と税込経理方式の選択適用))にかかわらず、固定資産、繰延資産、棚卸資産及び山林(以下「固定資産等」という。)の取得に係る取引又は販売費及び一般管理費等(山林の伐採費及び譲渡に要した費用を含む。以下「経費等」という。)の支出に係る取引のいずれか一方の取引について税込経理方式を適用できるほか、固定資産等のうち棚卸資産又は山林の取得に係る取引については、継続適用を条件として固定資産及び繰延資産と異なる方式を選択適用できるものとする。

(注)
1    個々の固定資産等又は個々の経費等ごとに異なる方式を適用しない。
2    消費税と地方消費税について異なる方式を適用しない。

(売上げと仕入れで経理方式が異なる場合の取扱い)
3 個人事業者が国内において行う売上げ等の収入に係る取引について税込経理方式で経理をしている場合には、固定資産等の取得に係る取引又は経費等の支出に係る取引の全部又は一部について税抜経理方式で経理をしている場合であっても、2((税抜経理方式と税込経理方式の選択適用))にかかわらず、税込経理方式を適用して所得税の課税所得金額を計算することに留意する。

(注) この取扱いは、消法第6条第1項((非課税))の規定により消費税を課さないこととされている資産の譲渡等のみを行う個人事業者が、固定資産等の取得に係る取引又は経費等の支出に係る取引の全部又は一部について税抜経理方式で経理をしている場合についても同様とする。

(仮受消費税等又は仮払消費税等と異なる金額で経理をした場合の取扱い)
3の2 個人事業者が行う取引に係る消費税等の経理処理について税抜経理方式によっている場合において、次に掲げる場合に該当するときは、それぞれ次に定めるところにより所得税の課税所得金額を計算することに留意する。

(1) 仮受消費税等の額又は仮払消費税等の額を超える金額を取引の対価の額から区分して経理をしている場合 その超える部分の金額を売上げ等の収入に係る取引の対価の額又は固定資産等の取得に係る取引若しくは経費等の支出に係る取引の対価の額に含める。

(2) 仮受消費税等の額又は仮払消費税等の額に満たない金額を取引の対価の額から区分して経理をしている場合 その満たない部分の金額を売上げ等の収入に係る取引の対価の額又は固定資産等の取得に係る取引若しくは経費等の支出に係る取引の対価の額から除く。

(年末一括税抜経理方式)
4 税抜経理方式による経理処理は、原則として取引(請求書の交付を含む。)の都度行うのであるが、消法令第46条第2項((課税仕入れに係る消費税額の計算))の規定の適用を受ける場合を除き、その経理処理をその年12月31日において一括して行うことができるものとする。

(免税事業者の消費税の処理)
5 消法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定により消費税を納める義務が免除される個人事業者については、その行う取引について税抜経理方式で経理をしている場合であっても、2((税抜経理方式と税込経理方式の選択適用))にかかわらず、税込経理方式を適用して所得税の課税所得金額を計算することに留意する。

(特定課税仕入れに係る消費税等の額)
5の2 特定課税仕入れの取引については、取引時において消費税等の額に相当する金銭の受払いがないのであるから、税抜経理方式を適用することとなる個人事業者であっても、当該特定課税仕入れの取引の対価の額と区分すべき消費税等の額はないことに留意する。
 ただし、個人事業者が当該特定課税仕入れの取引について課されるべき消費税の額及び当該消費税の額を課税標準として課されるべき地方消費税の額に相当する金額を当該取引の対価の額と区分して、例えば、仮受金及び仮払金等としてそれぞれ計上するなど仮勘定を用いて経理をしている場合には、当該仮受金又は仮払金等として経理をした金額はそれぞれ仮受消費税等の額又は仮払消費税等の額に該当するものとして、所得税の課税所得金額を計算することに留意する。

(注) この取扱いによった場合においても、2((税抜経理方式と税込経理方式の選択適用))の適用については、税込経理方式で経理をしたことにはならないことに留意する。

(仮受消費税等及び仮払消費税等の清算)
6 税抜経理方式を適用することとなる個人事業者は、課税期間の終了の時における仮受消費税等の額の合計額から仮払消費税等の額の合計額(控除対象外消費税額等に相当する金額を除く。以下6において同じ。)を控除した金額と当該課税期間に係る納付すべき消費税等の額とに差額が生じた場合は、当該差額については、当該課税期間を含む年の事業所得等の金額の計算上、総収入金額又は必要経費に算入するものとする。
 課税期間の終了の時における仮払消費税等の額の合計額から仮受消費税等の額の合計額を控除した金額と当該課税期間に係る還付を受ける消費税等の額とに差額が生じた場合についても同様とする。

(注) 事業所得等を生ずべき業務のうち2以上の所得を生ずべき業務について税抜経理方式を適用している場合には、税抜経理方式を適用している業務のそれぞれについて、他の税抜経理方式を適用している業務に係る取引がないものとして上記の取扱いを適用するものとする。

(消費税等の必要経費算入の時期)
7 税込経理方式を適用することとなる個人事業者が納付すべき消費税等の額は、納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日の属する年の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入し、更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する年の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入する。ただし、当該個人事業者が申告期限未到来の当該納税申告書に記載すべき消費税等の額を未払金に計上したときの当該金額については、当該未払金に計上した年の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入することとして差し支えない。

(消費税等の総収入金額算入の時期)
8 税込経理方式を適用することとなる個人事業者が還付を受ける消費税等の額は、納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日の属する年の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入し、更正に係る税額については当該更正のあった日の属する年の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入する。ただし、当該個人事業者が申告期限未到来の当該納税申告書に記載すべき消費税等の額を未収入金に計上したときの当該金額については、当該未収入金に計上した年の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入することとして差し支えない。

(少額の減価償却資産の取得価額等の判定)
9 令第138条((少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入))、令第139条((一括償却資産の必要経費算入))又は令第139条の2((繰延資産となる費用のうち少額のものの必要経費算入))の規定を適用する場合において、これらの規定における金額基準を満たしているかどうかは、個人事業者がこれらの規定の適用がある減価償却資産に係る取引について適用することとなる税抜経理方式又は税込経理方式に応じ、その適用することとなる方式により算定した取得価額又は支出する金額により判定することに留意する。
 措置法に規定する特別償却等において定められている金額基準についても、同様とする。

(資産に係る控除対象外消費税額等の処理)
10 令第182条の2第5項((資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入))に規定する資産に係る控除対象外消費税額等(以下「資産に係る控除対象外消費税額等」という。)については、同条の規定の適用を受け、又は受けないことを選択することができるが、同条の規定の適用を受ける場合には、資産に係る控除対象外消費税額等が生じた年において、その全額について同条の規定を適用することになることに留意する。

(注) 事業所得等を生ずべき業務のうち2以上の所得を生ずべき業務について税抜経理方式を適用している場合には、それぞれの業務に係る取引ごとに上記の取扱いを適用するものとする。

(資産の範囲)
11 令第182条の2((資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入))の資産には、固定資産、棚卸資産、山林のほか繰延資産が含まれるが、前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその年12月31日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。)は含まれないことに留意する。

(適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る消費税等の処理)
11の2 国内において行った消法第2条第1項第7号の2((定義))に規定する適格請求書発行事業者以外の者から行った同項第12号に規定する課税仕入れ(特定課税仕入れ並びに消法令第46条第1項第5号及び第6号((課税仕入れに係る消費税額の計算))に掲げる課税仕入れを除く。)に係る取引について税抜経理方式で経理をしている場合であっても、その取引の対価の額と区分して経理をした消費税等の額に相当する金額を当該課税仕入れに係る取引の対価の額に含めて所得税の課税所得金額を計算することになることに留意する。

(注) この取扱いによった場合においても、2((税抜経理方式と税込経理方式の選択適用))の適用については、税込経理方式で経理をしたことにはならないことに留意する。

(控除対象外消費税額等の対象となる消費税法の規定)
11の3 税抜経理方式を適用することとなる個人事業者が国内において行う課税仕入れ等(消法第2条第1項第7号の2((定義))に規定する適格請求書発行事業者以外の者から行った同項第12号に規定する課税仕入れ(特定課税仕入れ並びに消法令第46条第1項第5号及び第6号((課税仕入れに係る消費税額の計算))に掲げる課税仕入れを除く。)を除く。)につき、消法第30条第2項((仕入れに係る消費税額の控除))のほか、例えば、次の規定の適用を受ける場合には、当該規定の適用を受ける取引に係る仮払消費税等の額は、控除対象外消費税額等となることに留意する。

(1) 消法第30条第7項及び第10項から第12項まで(同条第7項及び第11項にあっては、ただし書を除く。)

(2) 消法第36条第5項((納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整))

(譲渡所得の基因となる資産の譲渡がある場合の処理)
12 譲渡所得の基因となる資産の譲渡で消費税が課されるものがある場合には、当該資産の譲渡を当該資産をその用に供していた事業所得等を生ずべき業務に係る取引に含めて、6((仮受消費税等及び仮払消費税等の清算))の取扱いを適用するものとする。

(山林所得の概算経費控除等の取扱い)
13 措置法第30条((山林所得の概算経費控除))及び第30条の2((山林所得に係る森林計画特別控除))の規定を適用する場合におけるこれらの規定に規定する「収入金額」及び「伐採費、運搬費その他の財務省令で定める費用」は、個人事業者が適用している税抜経理方式又は税込経理方式に応じ、その適用している方式により算定する。
 措置法第31条の4((長期譲渡所得の概算取得費控除))の規定を適用する場合における同条に規定する「収入金額」についても同様とする。

附則
(経過的取扱い(1)…改正通達の適用時期)
 別に定めるものを除き、この法令解釈通達による改正後の取扱いは、令和5年10月1日以後に国内において個人事業者が行う資産の譲渡等(消法第2条第1項第8号((定義))に規定する資産の譲渡等をいう。以下同じ。)、国内において個人事業者が行う課税仕入れ(同項第12号に規定する課税仕入れをいう。以下同じ。)及び保税地域(同項第2号に規定する保税地域をいう。以下同じ。)から引き取られる課税貨物(同項第11号に規定する課税貨物をいう。以下同じ。)に係る消費税について適用し、同日前に国内において個人事業者が行った資産の譲渡等、国内において個人事業者が行った課税仕入れ及び保税地域から引き取った課税貨物に係る消費税については、なお従前の例による。

(経過的取扱い(2)…適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置)
 個人事業者が国内において行った課税仕入れ等につき、所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号。以下「平成28年改正法」という。)附則第52条第1項 ((適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置))(消費税法施行令等の一部を改正する政令(平成30年政令第135号。以下「平成30年改正令」という。)附則第22条第2項又は第3項((適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る消費税額の計算に関する経過措置))の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下同じ。)の規定の適用を受ける場合には、この法令解釈通達による改正後の11の2((適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る消費税等の処理))の取扱いは、適用しない。この場合において、当該課税仕入れ等に係る取引について税抜経理方式を適用するときは、所得税法施行令等の一部を改正する政令(平成30年政令第131号)附則第11条第3項((資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入に関する経過措置))の規定による読替え後の令第182条の2第5項((資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入))に規定する当該課税仕入れ等の税額及び当該課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の額に相当する金額の合計額をこの法令解釈通達による改正後の1(13)((用語の意義))に規定する仮払消費税等の額とする。
 平成28年改正法附則第53条第1項 ((適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置))(平成30年改正令附則第23条第2項又は第3項((適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る消費税額の計算に関する経過措置))の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定の適用を受ける場合についても同様とする。
 
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消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて

消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて
※ これは、令和3年2月9日付課法2−6「『消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて』の一部改正について」(法令解釈通達)による改正前の取扱いです。
消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて
平成元年3月1日直法2-1
平成6年3月16日課法2-1(例規)により改正
平成9年2月26日課法2-1(例規)により改正
平成10年6月23日課法2-7(例規)により改正
平成16年6月23日課法2-10(法令解釈通達)により改正
平成19年3月13日課法2-3、課審5-11(法令解釈通達)により改正
平成22年11月30日課法2-7、課審5-33(法令解釈通達)により改正
平成25年6月27日課法2-4、課審6-16(法令解釈通達)により改正
平成26年3月13日課法2-1(法令解釈通達)により改正
平成26年6月27日課法2-6、課審6-11(法令解釈通達)により改正
平成27年6月30日課法2-8、課審6-3(法令解釈通達)により改正
平成28年6月28日課法2-11、課審6-9(法令解釈通達)により改正
平成29年6月30日課法2-17、課審6-6(法令解釈通達)により改正
令和元年6月28日課法2-10、課審6-9、査調9-117(法令解釈通達)により改正
 標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

(趣旨)
 消費税法(昭和63年法律第108号)、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律(平成6年法律第109号)、地方税法等の一部を改正する法律(平成6年法律第111号)、地方税法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成9年政令第17号)、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成24年法律第68号)、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律(平成24年法律第69号)、所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9号)、地方税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第2号)、所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)及び地方税法等の一部を改正する等の法律(平成28年法律第13号)の施行に伴い、法人税の課税所得金額の計算における消費税及び地方消費税の取扱いを明らかにするものである。(平9年課法2-1、令元年課法2-10により改正)
 

(用語の意義)
1 この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。(平成9年課法2-1、令元年課法2-10により改正)

(1)法 法人税法(昭和40年法律第34号)をいう。
(2)令 法人税法施行令(昭和40年政令第97号)をいう。
(3)措置法 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)をいう。
(4)消費税等 消費税及び地方消費税をいう。
(5)控除対象外消費税額等 消費税法(昭和63年法律第108号)第30条第1項((仕入れに係る消費税額の控除))の規定の適用を受ける場合における同条第2項に規定する課税仕入れ等の税額及び当該課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の額に相当する金額の合計額((6)において「課税仕入れ等に係る消費税額等」という。)のうち同条第1項の規定による控除をすることができない金額及び当該控除をすることができない金額に係る地方消費税の額に相当する金額の合計額をいう。
(注) 課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の額に相当する金額又は控除をすることができない金額に係る地方消費税の額に相当する金額とは、それぞれ令第139条の4第6項《資産に係る控除対象外消費税額等の損金算入》に規定する課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の額に相当する金額又は控除をすることができない金額に係る地方消費税の額に相当する金額をいう。
(6)控除対象消費税額等 消費税法第30条第1項の規定の適用を受ける場合における課税仕入れ等に係る消費税額等のうち控除対象外消費税額等以外の金額をいう。
(7)税抜経理方式 消費税等の額と当該消費税等に係る取引の対価の額とを区分して経理する方式をいう。
(8)税込経理方式 消費税等の額と当該消費税等に係る取引の対価の額とを区分しないで経理する方式をいう。

(消費税等に係る経理処理の原則)
2 法人税の課税所得金額の計算に当たり、法人が行う取引に係る消費税等の経理処理については、法若しくは措置法又はこの通達に別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って処理するものとする。(平9年課法2-1により改正)

(税抜経理方式と税込経理方式の選択適用)
3 法人税の課税所得金額の計算に当たり、法人が行う取引に係る消費税等の経理処理については、税抜経理方式又は税込経理方式のいずれの方式によることとしても差し支えないが、法人の選択した方式は、当該法人の行う全ての取引について適用するものとする。ただし、法人が売上げ等の収益に係る取引につき税抜経理方式を適用している場合には、固定資産、繰延資産及び棚卸資産(以下「固定資産等」という。)の取得に係る取引又は販売費、一般管理費等(以下「経費等」という。)の支出に係る取引のいずれかの取引について税込経理方式を選択適用できるほか、固定資産等のうち棚卸資産の取得に係る取引については、継続適用を条件として固定資産及び繰延資産と異なる方式を選択適用できるものとする。(平9年課法2-1、令元年課法2-10により改正)

(注)
1 個々の固定資産等又は個々の経費等ごとに異なる方式を適用することはできない。
2 売上げ等の収益に係る取引につき税込経理方式を適用している場合には、固定資産等の取得に係る取引及び経費等に係る取引については税抜経理方式を適用することはできない。
3 消費税と地方消費税について異なる方式を適用することはできない。

(期末一括税抜経理方式)
4 税抜経理方式による経理処理は、原則として取引の都度行うのであるが、その経理処理を事業年度終了の時において一括して行うことができるものとする。

(免税事業者等の消費税等の処理)
5 法人税の課税所得金額の計算に当たり、消費税の納税義務が免除されている法人については、その行う取引に係る消費税等の処理につき、3((税抜経理方式と税込経理方式の選択適用))にかかわらず、税込経理方式によるのであるから留意する。(平9年課法2-1により改正)

(注)
1 この取扱いは、消費税が課されないこととされている資産の譲渡等のみを行う法人についても適用がある。
2 これらの法人が行う取引に係る消費税等の額は、益金の額若しくは損金の額又は資産の取得価額等に算入されることになる。

(特定課税仕入れに係る消費税等の額)
5の2 消費税法第5条第1項((納税義務者))に規定する特定課税仕入れ(以下「特定課税仕入れ」という。)の取引については、取引時において消費税等の額に相当する金銭の受払いがないのであるから、その取引の都度行う経理処理において当該特定課税仕入れの取引の対価の額と区分すべき消費税等の額はないことに留意する。
 ただし、法人が当該特定課税仕入れの取引の対価の額に対して消費税等が課せられるものとした場合の消費税等の額に相当する額を、例えば、仮受金及び仮払金等としてそれぞれ計上するなど仮勘定を用いて経理処理することとしても差し支えない。(平27年課法2-8により追加)

(仮払消費税等及び仮受消費税等の清算)
6 法人が消費税等の経理処理について税抜経理方式を適用している場合において、消費税法第37条第1項((中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例))の規定の適用を受けたこと等により、同法第19条第1項((課税期間))に規定する課税期間の終了の時における仮受消費税等の金額(特定課税仕入れの消費税等の経理金額を含む。)から仮払消費税等の金額(特定課税仕入れの消費税等の経理金額を含み、控除対象外消費税額等に相当する金額を除く。)を控除した金額と当該課税期間に係る納付すべき消費税等の額又は還付を受ける消費税等の額とに差額が生じたときは、当該差額については、当該課税期間を含む事業年度において益金の額又は損金の額に算入するものとする。(平9年課法2-1、平27年課法2-8により改正)

(注) 特定課税仕入れの消費税等の経理金額とは、5の2((特定課税仕入れに係る消費税等の額))のただし書により、特定課税仕入れの取引に係る消費税等の額に相当する額として経理した金額をいう。

(消費税等の損金算入の時期)
7 法人税の課税所得金額の計算に当たり、税込経理方式を適用している法人が納付すべき消費税等は、納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日の属する事業年度の損金の額に算入し、更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する事業年度の損金の額に算入する。ただし、当該法人が申告期限未到来の当該納税申告書に記載すべき消費税等の額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした事業年度の損金の額に算入する。(平9年課法2-1により改正)

(消費税等の益金算入の時期)
8 法人税の課税所得金額の計算に当たり、税込経理方式を適用している法人が還付を受ける消費税等は、納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日の属する事業年度の益金の額に算入し、更正に係る税額については当該更正があった日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、当該法人が当該還付を受ける消費税等の額を収益の額として未収入金に計上したときの当該金額については、当該収益に計上した事業年度の益金の額に算入する。(平9年課法2-1により改正)

(少額の減価償却資産の取得価額等の判定)
9 令第133条((少額の減価償却資産の取得価額の損金算入))、令第133条の2((一括償却資産の損金算入))又は令第134条((繰延資産となる費用のうち少額のものの損金算入))の規定を適用する場合において、これらの規定における金額基準を満たしているかどうかは、法人が適用している税抜経理方式又は税込経理方式に応じ、その適用している方式により算定した価額により判定する。
 措置法に規定する特別償却等において定められている金額基準又は措置法第61条の4第4項第2号((交際費等の範囲から除かれる飲食等のために要する費用))に規定する金額基準についても、同様とする。(平10年課法2-7、平19年課法2-3、平26年課法2-6により改正)

(資産の評価損益等に係る時価)
10 資産又は時価評価資産について、次に掲げる規定を適用する場合におけるそれぞれ次に定める価額は、当該資産又は当該時価評価資産につき法人が適用している税抜経理方式又は税込経理方式に応じ、その適用している方式による価額をいうものとする。(平16年課法2-10、平19年課法2-3により改正)

(1) 法第25条第3項((資産評定による評価益の益金算入)) 令第24条の2第5項第1号((再生計画認可の決定等の事実が生じた場合の評価益の額))に規定する「当該再生計画認可の決定があった時の価額」
(2) 法第33条第2項((資産の評価換えによる評価損の損金算入)) 同項に規定する「評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額」
(3) 法第33条第4項((資産評定による評価損の損金算入)) 令第68条の2第4項第1号((再生計画認可の決定等の事実が生じた場合の評価損の額))に規定する「当該再生計画認可の決定があった時の価額」
(4) 法第61条の11第1項又は第61条の12第1項((連結納税の開始等に伴う資産の時価評価損益)) 法第61条の11第1項に規定する「時価評価資産」に係る「その時の価額」
(5) 法第62条の9第1項((非適格株式交換等に係る株式交換完全子法人等の有する資産の時価評価損益)) 同項に規定する「時価評価資産」に係る「非適格株式交換等の直前の時の価額」又は「その時の価額」
(平22年課法2-7、平29年課法2-17により改正)

(注) 令第122条の12第1項第5号又は令第123条の11第1項第5号((時価評価資産から除かれる資産の範囲))に規定する「資産の価額」についても、同様とする。

(寄附金に係る時価)
11 法第37条第7項及び第8項((寄附金の損金不算入))の規定を適用する場合における「資産のその贈与の時における価額」又は「資産のその譲渡の時における価額」は、当該資産につき法人が適用している税抜経理方式又は税込経理方式に応じ、その適用している方式による価額をいい、同項に規定する「経済的な利益のその供与の時における価額」については、当該法人が売上げ等の収益に係る取引につき適用している方式に応じ、その適用している方式による価額をいうものとする。(平16年課法2-10により改正)

(交際費等に係る消費税等の額)
12 法人が支出した措置法第61の4条第4項((交際費等の損金不算入))に規定する交際費等に係る消費税等の額は、同項に規定する交際費等(以下「交際費等」という。)の額に含まれることに留意する。
 ただし、法人が消費税等の経理処理について税抜経理方式を適用している場合には、当該交際費等に係る消費税等の額のうち控除対象消費税額等に相当する金額は交際費等の額に含めないものとする。(平26年課法2-6、平28年課法2-11により改正)

(注)
1 税込経理方式を適用している場合には、交際費等に係る消費税等の額は、その全額が交際費等の額に含まれることになる。
2 税抜経理方式を適用している場合における交際費等に係る消費税等の額のうち控除対象外消費税額等に相当する金額は、交際費等の額に含まれることになる。
3 2により交際費等の額に含まれることとなる金額のうち、措置法第61条の4第4項に規定する飲食費に係る金額については、同項の飲食費の額に含まれる。
4 控除対象外消費税額等のうち特定課税仕入れ(その支払対価の額が交際費等の額に該当するものに限る。)に係る金額は、本文の「交際費等に係る消費税等の額」に含まれないことに留意する。
(資産に係る控除対象外消費税額等の処理)
13 令第139条の4第5項((資産に係る控除対象外消費税額等の損金算入))に規定する資産に係る控除対象外消費税額等の合計額(以下「資産に係る控除対象外消費税額等」という。)については、同条の規定の適用を受け、又は受けないことを選択することができるが、同条の規定の適用を受ける場合には、資産に係る控除対象外消費税額等の全額について同条の規定を適用しなければならないことに留意する。したがって、法人が資産に係る控除対象外消費税額等の一部について同条の規定の適用を受けなかった場合(資産に係る控除対象外消費税額等を資産の取得価額に算入した場合を含む。)には、その適用を受けなかった控除対象外消費税額等については、当該事業年度後の事業年度において同条第4項の規定を適用するのであるから留意する。
(平6年課法2-1、平9年課法2-1、平16年課法2-10により改正)

(注)
1 この取扱いの後段の適用を受ける場合には、資産の取得価額に算入した資産に係る控除対象外消費税額等は、資産の取得価額から減額することになる。
2 本文後段の取扱いは、当該事業年度が連結事業年度に該当する場合における当該連結事業年度後の事業年度にも適用する。

(資産の範囲)
14 令第139条の4第1項に規定する資産には、棚卸資産、固定資産のほか繰延資産が含まれるが、前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。)は含まれないことに留意する。
(平6年課法2-1、平16年課法2-10により改正)

(登録国外事業者以外の者との取引に係る仮払消費税等の金額)
14の2 税抜経理方式を適用している法人が行う取引のうち、登録国外事業者以外の国外事業者から受けた事業者向け以外の電気通信利用役務の提供の取引に係る仮払消費税等の金額(以下「未登録国外事業者に対する仮払消費税等の金額」という。)は、全額が控除対象外消費税額等となることに留意する。
 この場合の当該仮払消費税等の金額の取扱いについては、それぞれ次のことに留意する。(平27年課法2-8により追加)

(1) 未登録国外事業者に対する仮払消費税等の金額が当該法人の資産に係るものである場合には、令第139条の4の規定の適用を受けることができる。
(2) 未登録国外事業者に対する仮払消費税等の金額が当該法人が支出した交際費等に係るものである場合には、12((交際費等に係る消費税等の額))の注2の取扱いによる。

(注)
1 登録国外事業者とは、所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9号)附則第39条第1項((国外事業者の登録等))の規定により登録を受けた事業者をいい、国外事業者とは、消費税法第2条第1項第4号の2((定義))に規定する国外事業者をいう。
2 事業者向け以外の電気通信利用役務の提供とは、同項第8号の3に規定する電気通信利用役務の提供のうち、同項第8号の4に規定する事業者向け電気通信利用役務の提供に該当するもの以外のものをいう。

(連結納税に係る取扱い)
15 連結法人が連結納税に係る申告を行う際の消費税等の取扱いについては、2から14の2までの取扱いを準用する。この場合において、2から14の2までにおいて引用している法、令及び措置法の各条項の規定のうち、次に掲げる条項の規定はそれぞれ次のとおり読み替えるものとし、それ以外の条項の規定は連結法人が法第81条の3第1項((個別益金額又は個別損金額))の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合のこれらの条項の規定をいうことに留意する。(平16年課法2-10により追加、平26年課法2-6、平27年課法2-8、平29年課法2-17により改正)

1 法第37条第7項及び第8項((寄附金の損金不算入)) 法第81条の6第6項((連結事業年度における寄附金の損金不算入))の規定により準用して適用される法第37条第7項及び第8項
2 措置法第61条の4第4項((交際費等の損金不算入)) 措置法第68条の66第4項((交際費等の損金不算入))

(注) 13の後段の取扱いは、当該事業年度が連結事業年度に該当しない場合における当該事業年度後の連結事業年度にも準用する。

(附則)
(経過的取扱い(1)……改正前の消費税法等の適用がある場合)
 改正法令(所得税法及び消費税法の一部を改正する法律(平成6年法律第109号)、地方税法等の一部を改正する法律(平成6年法律第111号)及び地方税法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成9年政令第17号))による改正前の消費税法及び法人税法施行令の規定の適用を受ける場合の取扱いについては、この通達の改正前の取扱いの例による。(平9年課法2-1により追加)

(経過的取扱い(2)……限界控除の適用がある場合)
 所得税法及び消費税法の一部を改正する法律(平成6年法律第109号)附則第20条((小規模事業者等に係る限界控除に関する経過措置))によりなお効力を有することとされる旧消費税法第40条((小規模事業者等に係る限界控除))の適用がある場合の取扱いについては、改正前の6((仮払消費税及び仮受消費税の清算))の取扱いの例による。この場合において、改正前の6中「消費税」とあるのは「消費税等」と、「仮受消費税」とあるのは「仮受消費税等」と、「仮払消費税」とあるのは「仮払消費税等」と、「控除対象外消費税額」とあるのは「控除対象外消費税額等」とする。(平9年課法2-1により追加)

(経過的取扱い)
 この法令解釈通達による改正後の取扱いは、平成26年4月1日以後に行う消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入れ(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律附則第4条第3項に規定する経過措置対象課税仕入れ等で同項第4号又は第5号に掲げるものに該当するもの(以下「経過措置対象課税仕入れ」という。)を除く。)及び同日以後に消費税法第2条第1項第2号に規定する保税地域から引き取る同項第11号に規定する課税貨物について適用し、同日前に行った同項第12号に規定する課税仕入れ(経過措置対象課税仕入れを含む。)及び同日前に同項第2号に規定する保税地域から引き取った同項第11号に規定する課税貨物については、なお従前の例による。(平成26年課法2-1により追加)
 
令和3年2月9日付課法2−6
「『消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて』の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明

この趣旨説明は、令和3年2月9日現在の法令に基づいて作成している。


目 次

消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて

インボイス制度導入に伴う消費税経理通達の改正(PDF/437KB)

省略用語例

法令等の名称 本文中略語 引用略語
法人税法
法人税法施行令
法人税法施行規則
所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号) 平成28年改正法 28年改正法
消費税法 消法
消費税法施行令 消令
平成元年3月1日付直法2−1「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」(法令解釈通達) 消費税経理通達 経理通達
令和3年2月9日付課法2−6「『消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて』の一部改正について」(法令解釈通達) 令和3年改正通達 3年改正通達
令和3年改正通達による改正前の消費税経理通達 旧消費税経理通達 旧経理通達
令和3年改正通達による改正後の消費税経理通達 新消費税経理通達 新経理通達

No.6921 控除できなかった消費税額等(控除対象外消費税額等)の処理


[令和3年9月1日現在法令等]
<対象税目>
消費税、法人税、所得税
<概要>
税抜経理方式を採用している場合において、その課税期間中の課税売上高が5億円超または課税売上割合(注1)が95パーセント未満であるときには、その課税期間の仕入控除税額は、課税仕入れ等に対する消費税額の全額ではなく、課税売上げに対応する部分の金額となります。
したがって、この場合には、控除対象外消費税額等(仕入税額控除ができない仮払消費税等の額)が生じることになります。
この控除対象外消費税額等は、法人税法上または所得税法上、次に掲げる方法によって処理します(注2)。
(注1) 課税売上割合 = その課税期間の課税売上高(税抜き) ÷ その課税期間の総売上高(税抜き)
※1 課税売上高とは、国内における課税資産の譲渡等の対価の額の合計額をいいます。これには、輸出による免税売上高が含まれます。
※2 総売上高とは、国内における資産の譲渡等の対価の合計額をいいます(課税売上高と非課税売上高の合計額となります。)。
(注2) 税込経理方式を採用している場合には、消費税額および地方消費税額は資産の取得価額または経費の額に含まれますので、特別な処理は要しません。
 
<資産に係る控除対象外消費税額等>
資産に係る控除対象外消費税額等は、次のいずれかの方法によって、損金の額または必要経費に算入します。
(1)その資産の取得価額に算入し、それ以後の事業年度または年分において償却費などとして損金の額に算入します。
(2)次のいずれかに該当する場合には、法人税法上は、損金経理を要件としてその事業年度の損金の額に算入し、また、所得税法上は、全額をその年分の必要経費に算入します。

イ その事業年度または年分の課税売上割合が80パーセント以上であること。
ロ 棚卸資産に係る控除対象外消費税額等であること。
ハ 一の資産に係る控除対象外消費税額等が20万円未満であること。

(3)上記に該当しない場合には、「繰延消費税額等」として資産計上し、次に掲げる方法によって損金の額または必要経費に算入します。

イ 法人税
繰延消費税額等を60で除し、これにその事業年度の月数を乗じて計算した金額の範囲内で、その法人が損金経理した金額を損金の額に算入します。
なお、その資産を取得した事業年度においては、上記によって計算した金額の2分の1に相当する金額の範囲内で、その法人が損金経理した金額を損金の額に算入します。

ロ 所得税
繰延消費税額等を60で除し、これにその年において事業所得等を生ずべき業務を行っていた期間の月数を乗じて計算した金額を必要経費に算入します。
なお、その資産を取得した年分においては、上記によって計算した金額の2分の1に相当する金額を必要経費の額に算入します。
 
<控除対象外消費税額等が資産に係るもの以外である場合>
次に掲げる方法によって損金の額または必要経費に算入します。

(1)法人税
全額をその事業年度の損金の額に算入します。
ただし、交際費等に係る控除対象外消費税額等に相当する金額は交際費等の額として、交際費等の損金不算入額を計算します。
交際費等に係る消費税等の処理については、6917 交際費等の損金不算入額を算出する場合における消費税等の取扱いを参照してください。

(2)所得税
全額をその年分の必要経費に算入します。
 
<対象者または対象物>
税抜経理方式を採用している、一定の要件に該当する事業者(免税事業者を除く)
 
<根拠法令等>
消法30、法令139の4、法規28、所令182の2、所規38の2、平元.3直法2-1、平元.3直所3-8外
 
No.6921 控除できなかった消費税額等(控除対象外消費税額等)の処理|国税庁 (nta.go.jp)

 

No.6917 交際費等の損金不算入額を算出する場合における消費税等の取扱


[令和3年9月1日現在法令等]
<対象税目>
消費税
<概要>
法人が交際費等を支出した場合には、一定の損金算入限度額を超える金額は損金の額に算入されません。

この損金不算入となる金額を算出する場合において、交際費等の額に消費税および地方消費税(以下「消費税等」といいます。)が含まれている場合には、次のとおり取り扱われます。

なお、交際費等の損金算入限度額(定額控除限度額)については、5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算を参照してください。
 
<税込経理方式の場合>
税込経理方式を選択適用している場合には、消費税等込みの価額を交際費等として計上していますので、その消費税等込みの交際費等の額を基に損金不算入額を計算します。
 
<税抜経理方式の場合>
税抜経理方式を選択適用している場合には、消費税等は仮払消費税等として経理され、消費税等抜きの価額を交際費等として計上しますので、その消費税等抜きの交際費等の額を基に損金不算入額を計算します。

ただし、その事業年度において、課税期間中の課税売上高が5億円超または課税売上割合が95パーセント未満となったときに、仕入税額控除ができなかった消費税等の額(以下「控除対象外消費税額等」といいます。)がある場合には、消費税等抜きの交際費等の合計額に、交際費等に係る消費税等の額のうちその控除対象外消費税額等の額に相当する金額を加えた額を交際費等の額として、交際費等の損金不算入額を計算します。
 
<根拠法令等>
平元.3直法2-1、措法61の4
No.6917 交際費等の損金不算入額を算出する場合における消費税等の取扱い|国税庁 (nta.go.jp)
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